ヒットメーカーの舞台裏

2013年10月15日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 来年4月に創業60周年を迎えるマッサージチェアの最大手が2012年3月に発売した最上位機種。実勢価格は30万円前後と高いが、発売から1年くらいでじわじわと評判が広まってきた。今年1~7月には全国の家電量販店を対象にした調査で販売台数、金額ともトップシェア(フジ医療器調べ)になっている。

マッサージチェア 「AS-850」

 マッサージチェアの最高機種は、ここまで進化しているのかとの実感だ。もんだり、叩いたりする「もみ玉」によるマッサージだけでなく、空気圧でふくらはぎや二の腕を圧するなどエアーの機能も大活躍する。もみ玉用4個を含む7個のモーターとダイヤフラム(隔膜)式のコンプレッサー1台を搭載しており、もみ玉の動作だけで28種類のマッサージができる。

 また、チェアに座ると自動的にもみ玉が背中をなぞって、その人のおおよその体格を記憶する「3Dポイントナビシステム+(プラス)」や個々のマッサージの強さを好みに合わせて微調節できる機能など、オーダーメードのように対応してくれる。

 開発を担当したのは商品本部長付マッサージ部長の藤代光明(48歳)。製造部門を経てマッサージチェア開発に20年従事するベテランで、フジ医療器が10年に社内制定した「マッサージチェアマイスター」の称号を唯一もっている。

 マッサージチェアは「お客様の体感で評価が決まる商品」(藤代)なので、もみ玉の動きやエアーによる加圧の具合などは開発者の感覚を頼りにプログラミングしていく。「マイスター藤代」は、商品を味付けする技能で同社ナンバーワンであり、従って歴代のフラッグシップモデルの開発も担ってきた。

 この「サイバーリラックスAS−850」の開発に着手したのは10年秋で、同年2月に発売したばかりのフラッグシップ機の改良に取りかかったのだった。マッサージチェアは通常1~2年でモデルを変更するので、改良も小幅にとどまるケースが多いが、藤代は今回自信をもって新たな機能を採用した。「極(きわみ)メカ4D」と命名したマッサージのテクニックだ。

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