世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月30日

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 米AEI日本研究部長のオースリンが、9月2日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙に「オバマのアジアからシリアへの軸足移動」と題する論説を寄せ、シリア攻撃などでアジアへの軸足移動戦略が成り立たなくなっていることに懸念を表明しています。

 すなわち、アジアの同盟国は、米国が一度に一地域にしか対処し得ないことを認識し、アジアへの軸足移動を打ち出した米国が、アジアに焦点を合わせていないという現実に、早晩気づくだろう。

 アジアへの軸足移動は、常に言葉の上でのことであった。TPPと東アジア首脳会議出席は適切なことだが、オバマ大統領は、米国のアジアにおける新たな行動を示せずにいる。少数の船舶、航空機の追加、一時的基地設置がほぼすべてである。これらは、価値があるには違いないが、米国のアジアへのリバランスという大きな戦略には不足である。

 過去の危機の亡霊がオバマの新外交の夢を引き続き邪魔している。イラクでの暴力再燃、アフガン撤退が大きいが、イランの核問題やシリア内戦は、より懸念される。これらの結果、オバマのアジアへの軸足移動は困難になっている。

 第一に、対テロ戦争は兵士や物資を世界中からかき集めさせた。太平洋軍は中東に船舶、航空機、兵士を派遣せざるを得なかった。予算削減の時代には、軍事作戦能力維持はさらに困難になる。太平洋軍は船舶数、航空機数、兵員数において、どこの司令部よりも大きいが、シリア戦争のために、中東に部隊を移すことがさらに必要とされる可能性がある。また、イランの核問題は、米軍の中東および欧州での戦力強化を必要とし、太平洋軍の兵力転用がありうる。

 第二に、オバマはアジアへの軸足移動は中国封じ込めではないと言ってきた。しかし、中国指導部は最初から中国を包囲するものと見てきた。中国は米国の戦略目標に反対してきたが、シリアをめぐるオバマと中国の対立は、中国の認識が正しかったという印象を与える。シリア攻撃をめぐってオバマは中国の非難の対象になり、海洋主権での緊張緩和、北朝鮮への核放棄圧力などの米国のアジア政策への中国の抵抗は強くなろう。

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