世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月3日

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 米Foreign Affairs誌2013年9-10月号で、Avery Goldstein米ペンシルバニア大学教授は、米ソ冷戦期は、試行錯誤の結果、戦争を回避するメカニズムが出来ていたが、米中間には、それが無いので危険である、と述べています。

 すなわち、米ソ関係は、ベルリン危機やキューバ危機を経て、何がお互いに犯してはならない致命的な利益であるかや、エスカレーションを避けるメカニズムについての相互理解が成立して、危機を避けられるようになっていた。しかし、米中間にはそのような仕組みは存在していない。

 米中間の通常兵器の能力差は、米ソ間より大きいので、米国はこれを用いる誘惑に駆られる恐れがあり、中国としては、それが破壊される前に使いたくなるかもしれない。

 また、ソ連は、核兵器を使用せざるを得ない状況を明らかにしていたが、中国は、核兵器はどうせ使えない兵器だと頭から決めているのかもしれない危険がある。

 最近の軍事技術の進歩は、先に攻撃した方に絶大なる利益を与えるようになっているので、中国が先制攻撃の誘惑に駆られる恐れもある。

 米中間のホットラインは機能していない。1999年のベオグラード中国大使館爆撃事件でも、2001年の海南島事件でも、中国側は応答しなかった。中国側には、アメリカのNSCのカウンターパートが無いので、部内の調整が出来るまで応答出来ないのかもしれない。

 米ソの衝突は地上で始まると予測されていたのに対して、米中の場合はおそらく海上であろう。中国の潜水艦は通常海岸近くに隠れているが、戦争に際しては公海に出て来なければならない。米側としては、出てくる狭い水路の途中が捕捉し易いので、衝突が過早に起きる危険もある。

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