うつ病蔓延時代への処方箋

2013年10月1日

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――6月に厚労省が発表した平成24年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」をみると、申請、決定、支給ともに精神障害が多い。今や産業保健分野では圧倒的にメンタルヘルスが主要業務になっていると言えるのではないでしょうか。

佐藤:そうですね。当社に在籍する産業医の医師に聞くと、面接を含む業務の7割がメンタルヘルスだと言います。9割という医師もいます。事業場に行くたびに面接するのは、メンタル不調に悩む人ばかりという状況です。

――ストレスチェックの導入義務化は、社会全体でうつ病対策の意識を高めるという意味で有意義な面があると思います。半面、国は事業者に責任を押し付けているのではとも思えてなりません。

佐藤:国の財力が弱くなっているので、本来は国や社会全体でやるべきことを企業に押し付けている、という見方をされても仕方ないと思います。例えば年金支給年齢を引き上げるので企業に雇用延長しろというのも、押し付けではないでしょうか。

 また、事業者の方から言うと、大学など教育の場で、お金をもらって働くということがどういう事か、自分のメンタルをどうやってセルフケアしたらいいのかなど、メンタルヘルス教育を事前にしてくれば、社会に出てからの発症率は軽減すると思えます。メンタル不全者の増加はすべてが企業の責任ではないはずです。

 労働安全衛生法上の事業者責任も重くなっていく中で,労働者派遣法の改正が行われ、労働力の調整もまたやりにくい状況となってきました。私が大きな工場の経営者だったら、海外に逃げるでしょうね。

 体力のある企業はいいのですが、中小零細企業は厳しい。だから我々はストレスチェック導入義務化のこの時期を捉えて、メンタルヘルス面でも産業医が居ないような小規模事業者を支援できるよう努力していく考えです。


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