World Energy Watch

2013年10月4日

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 アジアの新興国、途上国の国内総生産(GDP)と電力需要の関係を図‐2に示したが、1人当たりGDPと電力消費は、当然だが0.88という強い相関係数(1から-1の間で表される。1の場合には2つの指数は100%同じ動きをし、-1の場合には全く逆の動きをする。0では関係性は全くない)を示している。今後東南アジア諸国では大きな経済成長が予想される。人口も電力需要も大きく増加し、電力不足が予想される。そんな中で、送電線敷設費を補うほどの量の水力の電気を、海を越え日本に輸出する余裕のある国が出てくるのだろうか。

「世界のため」  ビル・ゲイツの発想

 世界の電力需要はアジアの新興国を中心に今後とも大きく伸びる。10年の世界の発電量20.2兆kWhは、米国エネルギー省の予測では20年には26.6兆kWh、30年に33兆kWh、40年には現在のほぼ2倍の39兆kWhに伸びる。40年でも石炭が世界の発電量の3分の1以上を賄い、水力を含めた再エネは4分の1のシェアに留まると同省はみている。温暖化問題から、化石燃料、特に二酸化炭素排出量が相対的に大きい石炭、の大量消費は抑制される必要がある。

 ビル・ゲイツは、温暖化問題への対処には原子力が必ず必要とされると考えている。しかし、一方で核燃料の廃棄物処理という大きな問題に同時に取り組む必要があるとも考えた。そのために、軽水炉からの廃棄物を燃焼し発電するTWRと呼ばれる新型原子炉の開発を手掛けるテラパワー(http://www.terrapower.com/)を設立し技術開発を進めている。

 フォーブス誌によると、ビル・ゲイツは世界第2位、670億ドルの資産家だ。孫は128位、86億ドルの資産を保有していると報じられている。資産を世界のための技術開発に投じるのと、確実に収益を生む事業にのみ投じる発想の違いはどこから来るのだろうか。

 発送電分離が再エネに必要という孫の主張も根拠は全く不明だ。いまの制度でも託送は当然可能だし、発送電を分離しても大きく変わることはない筈だ。送電が分離されれば、何が変わるのだろうか。孫には有利な何かが見えているのだろう。朝日の連載を真に受ける第2の菅直人が登場し、特定の事業者の利益確保の後押しを政治がしないことを祈るのみだ。


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