世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月14日

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 米ヘリテージ財団アジア研究センター主任のウォルター・ローマンが、同財団のウェブサイトに9月13日付で掲載された論説において、ASEAN諸国は中国の脅威に対する米国の懸念を共有しているが、他方、中国の怒りを買いたくないとの考えから、全体としてどちらの側にも立たないという曖昧な対応をとっている、と述べています。

 すなわち、ASEANは、米国との防衛協力を一定限度持つことに対しては積極的な意味を認め、心地よさを感じているが、もし米国がより強い安全保障への協力を求めようとすれば、居心地の悪さを感じてしまう、という状況にある。

 成立後40数年を経て、ASEAN の自立性と集合体としての力は、全体として見れば確かに高まった。現在のASEANはその経験の上に立って、「米国のゲーム」でも「中国のゲーム」でもない「自分たちのゲーム」ができるようになっている。

 しかしながら、そのようなASEANも今日、微妙な時期を迎えている。ASEANは、中国の南シナ海における拡張主義の挑発に対して有効に対処することができずにいる。その点では、これまでのASEANの対中国関与政策は失敗だったと言えるだろう。今日のフィリピン、ベトナムやインドネシアの抱える問題に対し、ASEAN全体として効果的な方策を打ち出すには至っていない。

 それでは、アメリカが東南アジア諸国に期待するものは何か。

1)まず、中国の海洋権益膨張主義に対して、安定して一貫した圧力を加えることである。米国の中国に対する懸念についても、必ずしも一定せず、上がり下がりがあるが、米国とASEANが一緒になって中国に圧力をかけ牽制することが必要である。クリントン国務長官が2010年7月にハノイで行ったスピーチは、中国の現実的脅威に言及したが、ASEANにとっては、やや強硬に映ったかもしれない。

2)フィリピンの南シナ海における法的主張に対し明白な支持を与えることが必要である。ASEANは過去20年間、南シナ海の紛争処理に当たって、国際法順守を先頭だって擁護してきた。ところが、フィリピンが中国との係争問題を国連海洋法条約下の仲裁機関に持ち込んだ際、ASEANのいくつかの国は黙り込んでしまった。フィリピンも中国も海洋法批准国である。

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