2024年4月23日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月16日

・米国は、中露を一緒に扱わず、個別に対応すること。中露は連携していても、同盟しているわけではない。

・中露双方に関与すること。一方を孤立化しようとしない。同盟国との関係を損なうことなしに、米国は、例えばアフガン撤退後について、中露と協議すべきである。

・中央アジア及び中露両国で、法の支配、人権、良い統治を推進すべきである。

・中央アジア諸国との2国間、多数国間の協力を、安全保障分野を含め強化すべきである。これら諸国に、中露に頼る以外の選択肢を与えるべきである。

 中露の結び付きが強化される中で、米国が自らの利益と同盟国を守る対応をする時期である。

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 この論説は、中露が結託して米国に対抗してくることへの警戒から、今後の露関係の見通しや米国の対応策を論じたものです。

 長文なので、現状分析の部分は大きく割愛して論旨を要約しましたが、現状は、中露は連携していると考えた方が良いでしょう。

 歴史的不信感、中央アジアでの競争関係その他で、その関係が制約されている面を強調する見方は、中露は結託しない方が良いとの希望的観測です。現在、中露は、米国に対抗してもっと強く結び付いています。

 もちろん、中露の間には利害の対立はありますが、ロシアは経済力で約4倍大きく、極東部に人口面で圧力になっている中国と対立するのではなく、中国と上手くやって行く政策を基本にしています。中国も海洋に出る必要上、ロシアともめることは望んでいません。

 更に、中露ともに、内政が安定しているとは言い難い状況です。プーチンは強権的政治をしていますが、国内には批判勢力を抱えています。中国も共産党支配を維持することが最重要課題ですが、腐敗、格差など、社会の矛盾は大きくなっています。まさに、米国の民主主義を推進する政策が、両国にとっては脅威と認識されています。これが中露が今連携している最大の要因と言って良いでしょう。


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