中国メディアは何を報じているか

2013年10月15日

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佐々木智弘 (ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

バリ島で開かれたAPEC首脳会議に参加した習近平 (写真:Landov/アフロ)

 2013年10月9日から『人民日報』で「改革進行を深める時」と題する同紙評論部による文章の連載が始まった。第1回は「人より高い山はない」というタイトルだ。この「人より高い山はない」は、超えられない目標はないという意味で、習近平国家主席がインドネシアのバリ島で開かれたAPEC首脳会議の期間中に開かれた最高経営責任者(CEO)サミットでの演説の際に発言した言葉である。

 中国とASEANの協力強化が注目された今回の習近平のインドネシア、マレーシア訪問だったが、習近平が中国の改革について発言したり、その発言をとらえて人民日報評論部が改革に関する連載を始めたということは、11月に開かれる予定の18期3中全会(中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議)と無関係ではない。

 それでは、この評論部の文章はどんな内容だったのだろうか。

改革への期待満載

 この文章は5面に掲載された。リードは「思想観念の破壊から、利益枠組みの再構築、さらには発展方式、制度文明の修養の再構築まで、改革の道は無から平坦なもので、中国の前進の一歩一歩は、例外なく困難を迎えても上昇して利益を得てきた。そして例外なく危機をチャンスに変えることに成功してきた」というもの。以下、主な内容を見ておこう。

まさにこの時、新中国は成立64周年を迎えたばかりで、改革・開放35周年の節目をまさに迎えようとしており、まもなく開かれる第18期3中全会に万民の期待が集まっている。

世界経済は回復と低迷が激しくぶつかる中、曲がりなりにも前進している。改革・開放と復興の道の現実的方向性は格別の明解さを示している

大気汚染の管理だけでなく、今日中国の改革の「問題一覧表」には、「世界の工場」の転換レベルアップ、13億人をカバーする社会保険システムを完成させること、2億人以上の農民工のために人生のすばらしさの発展の舞台を作り出すことがあり、どれひとつをとっても格別困難な課題ではなく、かみ切ることの難しい難題はない。その中に身を置いて、思想観念が障害となり、利益固定化の垣根が相互に交錯し、調整の陣痛、成長の悩みが相互に積み重なり、人々の観点に相違があり、立場に違いがあり、利益が対立することが、堅塁を攻撃する時期、水の深みの段階(深水区)でのわずかなことが大きく影響する「改革の複雑性」であることを否定することはできない。

1992年、鄧小平同志が南巡講話で思い描いたことは、われわれおそらく30年の時間をかけて、ようやく各方面で成熟した、定型化した制度を作り上げることができるということだった。

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