2024年4月19日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年10月22日

 2013年9月17日、米国セキュリティーソフト企業であるSymantecが発表した報告書“Security Response”は、中国を拠点とする高い技術を持ったハッカー集団の存在を指摘した。当該ハッカー集団は、インターネット検索のグーグル及び米軍需産業のロッキード・マーチンにも侵入したという。同じく2013年2月19日に米国情報セキュリティー企業Mandiantが発表した報告書“APT1 - Exposing One of China’s Cyber Espionage Units”は、中国人民解放軍総参謀部第三部二局に所属する上海所在の61398部隊の概要、対米サイバー攻撃への関与及びその方法を詳細に述べている。

 中国によるサイバー攻撃は、米国で深刻な問題になっているのだ。6月7日の米中首脳会談においても、バラク・オバマ大統領は、習近平主席に対して、米国に対するサイバー攻撃に中国政府が関与していると非難している。これに対して、習主席は、中国もサイバー攻撃の被害者であり、サイバー・セキュリティーの分野においては米中が協力すべきだと主張する。米中の主張は真っ向から対立している。

今年6月の米中首脳会談でも、サイバー問題が話題に
(写真:Photoshot/アフロ)

サイバー攻撃で物理的破壊も可能

 そもそもサイバー戦とは、どのような戦闘様相を見せるのだろうか?

 実は、サイバー空間を用いて出来ることは非常に多い。日本ではあまり意識されていないが、サイバー攻撃によって物理的破壊をもたらすことも出来る。例えば、2010年11月にイランのウラン濃縮施設を機能不全に追い込んだのは、米国及びイスラエルが共同開発したとされる「Stuxnet」というマルウェアである。このマルウェアは、遠心分離機の回転速度を制御するプログラムに影響を及ぼしたのだ。これにより、イランの核開発は数年遅れたと言われる。


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