2024年4月16日(火)

オトナの教養 週末の一冊

2013年10月25日

“神秘的な数”のベールが
あっさりとはがされる

 余談だが、本書では、「フィボナッチ数列」や「黄金比」といった、人びとを魅了する“神秘的な数”のベールが、あっさりとはがされる。『ダヴィンチ・コード』ファンとしては、「そうだったのか」と、思わず声を上げた。こうした俗説や常識を疑う科学的なものの見方は本書全体にわたって貫かれており、好ましい。

 オックスフォード大学で化学を学び、物理学で博士号をとったという著者だけに、化学、物理はもとより、生物から芸術や建築にまでいたる幅広い知識には、舌を巻いた。

 自然のルールのように、本書ももう少し秩序立てて展開されていれば読みやすいのであろうが、そこは人間のやること、やや混沌としている。

 カビの生えかかった知識を一掃し、「自然に対して新たな見方をさせてくれる一冊」であることは、まちがいない。本書(Shapes)は、自然界のパターンを探る三部作の第一作で、このあとFlow、Branchesと続く。


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