2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月30日

 米国は、世界に安定をもたらす代わりに、攻撃的な政権に親切にしているようである。タリバンとサダム・フセインを例外とすれば、ソ連崩壊以来、米国は、最も秩序破壊的な政権の幾つかと仲良くしようとしてきたように見える。

 この20年間、米国は、一貫して外交レベルを下げてきた。特に、北朝鮮、アフガニスタン、中国、イラン、ロシアそして今のシリアとの関係では、そうである。秩序を乱そうとする政権は、非公式に米国の弱みにつけ込んで、確実に、勢力を増大してきた。中国にしても、シリアにしても、米国が、彼らの様々な挑発的行為に強硬手段を取るか、その本気度を試した。例えば、中国の南シナ海や東シナ海での海洋主権主張もそうである。

 更に懸念すべきことは、米国の外交当局者が、外交交渉開始に合意し、外交の選択肢さえあれば、仕事は済んだと思ってしまうことだ。このような意識では、危機を国際会議に委ねるだけで、米国の最大利益を考えて問題解決することにはならない。

 軍事力を削減させ、新たな外交問題に巻き込まれたくないならば、米国は、必然的にその頭脳に頼らなければならない。それには、現実的に考え、世界の独裁政権は、米国の弱体化を望んでいることを理解すべきだろう、と論じています。

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 今回のシリアに対するオバマの迷走ぶりを一般化して、過去20年間の米外交の劣化を嘆いている論説です。

 シリア問題の処理については、確かに正鵠を射ていると言えます。実質的問題には全て目をつぶって、外交交渉の手続きさえ始まれば良しとするという表現は、シリア問題の扱いについては、当てはまると言えるでしょう。


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