中国メディアは何を報じているか

2013年10月31日

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佐々木智弘 (ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

 10月24~25日、周辺外交工作座談会が開かれた。習近平をはじめとする中央政治局常務委員7人全員が出席する重要な会議で、習近平が重要講話を行った。10月26日付『人民日報』はこの座談会を1面で、習近平1人だけの写真付きで大きく報じた。

 記事はこの会議の意義、目的を次のように説明した。

「党中央が新たな情勢下での周辺外交工作を立派に行うための重要会議」
「経験を総括し、情勢を検討、判断し、思想を統一し、未来を開拓し、今後5~10年の周辺外交工作の戦略目標、基本方針、総体的配置を確定し、周辺外交が直面する重大な問題を解決する工作思考と実施計画を明確にする」

 「座談会」とは何か。そして「周辺外交工作」とは何か。

不可解な会議形式
座談会にトップ7が勢揃いの謎

 この座談会は、今後5~10年、すなわち習近平政権の周辺諸国との外交工作についての方針を示したという点で、極めて重要な会議であることは間違いない。しかし、座談会という会議の形式としては必ずしも高いレベルではない。しかもそのような座談会に中央政治局常務委員7人全員が参加するのも稀である。外交工作全般に関するものではなく、あくまで周辺外交という限定されたものであるために、高いレベルの会議を設定できなかったのだろうか。会議形式からして不可解である。

 またこの「周辺外交工作」という言葉は耳慣れない言葉だが、人民日報のウェブサイト「人民網」で検索すると2003年10月まで遡ることのできる言葉だが、昨年11月の第18回党大会の胡錦濤の政治報告でも登場しており、習近平が自らの外交思想のキャッチーフレーズの一つとして使おうとしている感がある。

 同日の『人民日報』に掲載された別の関連記事には、「中国は決して『国が強くなると必ずや覇権に至る』という道を歩まない」との文言があり、中国脅威論を払拭することも周辺外交工作は担っている。

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