2024年4月25日(木)

解体 ロシア外交

2013年11月1日

同性愛者弾圧問題でも対立

 実は、オランダとロシアは今年を、両国の歴史的な連携を祝う年だと制定していた。だが、実は、グリーンピース事件の前から、両国間の緊張は高まっていた。

 今年1月には、ロシアの反体制派のアレクサンドル・ドルマトフ氏がオランダの国外退去センター内で自殺する事件が起きた。同氏がここに収容されたのはオランダ警察と移民当局の判断ミスが原因だったという。

 4月にはアムステルダムのエーベルハルト・バンデル・ラーン市長が、オランダ訪問中のプーチン大統領との面会を、同性愛を弾圧しているという理由で拒否したという事件も起きた(ロシアの同性愛弾圧問題については拙稿「イシンバエワも支持? ロシアで強まる同性愛者への弾圧 高まるソチ五輪ボイコットの声」参照)。

 さらに、8月には、ロシアの音楽家とダンサーによるコンサートの前に、やはり同性愛弾圧問題に反発して、オランダの同性愛組織が抗議活動を行なった。

 そして、グリーンピース問題と、公使逮捕問題だ。オランダのウィレム・アレクサンダー国王は11月にロシアを訪問し、プーチン大統領と会見する予定だが、両国関係の緊張緩和にはまだ暗雲が立ちこめている。

ソチ五輪を前に国際社会に配慮も……

 このようにロシアの活動家逮捕は大きな国際的波紋を引き起こしたが、ロシアもその姿勢を若干緩和させたようである。10月23日に、ロシアの司法当局は、逮捕した30人全員の起訴罪名を「海賊行為」から「暴徒行為(フーリガン)」に変更した。これにより、これまで懲役15年だった最高刑が、7年に短縮される。

 ロシアの姿勢が若干軟化した背景には、ソチ五輪を目前にして、国際社会との極度な緊張関係が生まれるのを避けたかった当局の思いがあったと思われる。その一方で、それでもやはり活動家やその出身国に厳しい姿勢貫いている背景には、前述拙稿で述べたように、北極海開発に対するロシアの強い意志があることは間違いないだろう。活動家の最終的な処遇については、今後も注目していく必要があるが、ロシアはやはり今後も北極海問題では強い姿勢を貫いていくと考えられよう。


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