中国メディアは何を報じているか

2013年11月11日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 中国共産党中央委員会第3回全体会議(以下、3中全会と略称)が9日に開幕したようである。なぜ、ようである、と書いたのか。11日朝までの段階で開幕式の様子や会議の内容が一切報道されていないため、鳴り物入りで開かれたはずの会議の様子が全く伝わって来ないためだ。

「“383”報告のでっち上げ」とは?

 これは一体どうしたことだろう。国営新華社通信や党機関紙人民日報のウェブでは専用サイトを開設して華々しく3中全会の開催状況を報道すると見られていた。ところが開幕式の当日になってみるとこれほど重要な会議であるはずなのにこれまでまったく報道が出ない。これは異常としか言いようがない。9日、10日の夜のニュースは共産党の昨年秋の第18回大会から今までどれほど経済的に改善したか、新政権の成果ばかりを強調する報道がされているだけで3中全会の開催にさえ触れていない。

 前回の2008年にはニュースで会議の様子が動画で流されただけに、今回の会議で習政権がいかに神経を尖らせているかが窺える。天安門や山西省の政府庁舎前などで爆発事件が起きているし、地方からの陳情者が連日のように北京に押しかけ、民衆の不満が政府に向けられていることもある。厳戒警備が敷かれて町中に警官が溢れている。

 ただ前回から見ると会議終了後の12日か13日に会議全体についての通知(公報)が出され、会議で決められた文書が「決定」や「綱要」といった形で出される可能性は高い。

 この会議が、経済成長が鈍化した今、今後5年、10年、いやこの先の中国の行く末を左右する経済のあり方を決める会議であるため様々な議論が起き、意見の相違も先鋭化していることは想像に難くない。では経済政策の在り方を巡る議論、論点は何であろうか。

 10月末ではあるが、経済改革を巡る見解の相違を窺わせるようなぎょっとする論評が出たので紹介したい。『人民日報』系統に属する『環球時報』紙のネットに掲載された、商務部研究所に属する梅新育研究員による「資本(マーケット支持派の意:訳者)による“383”報告のでっち上げに警戒せよ」といういささか刺激の強い題のついた論評だ。

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