チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年11月14日

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日本の対応に見る安倍外交の基本的姿勢

 昨日の報道によれば、ウイグル人、チベット人らの奮闘もむなしく、中国はまたもや、国連人権理事会の理事国の座を獲得した。ほかに、女性への人権侵害が批判されるサウジアラビア、キューバといった「人権侵害国」も同じく選出されている。

 国連安保理のダブルスタンダードは再々指摘されるところだが、人権理事会もまた同じである。しかし、そんななかウイグル人らは前述の、「中国の人権状況についての普遍的定期審査」の場で発せられた「日本のメッセージ」を重く受け止めていた。

 「日本の代表が、『中国において、チベット、ウイグルといった少数民族にも等しく人権が保障されるべきである』とのコメントをした。これは大きな励ましとなりました」とラビア女史は言う。他方、天安門での事件から4日後、日本の菅官房長官は記者会見で事件について次のようにコメントをした。

 「わが国はかねてより、基本的人権と『法の支配』を重視しており、その観点から、中国の人権状況を注視していきたい」。従来から日本は「人権外交」のスタンスを貫いているとはいえ、現政権の対中外交が、「チャイナ・パッシング(中国素通り)」戦術をとっているなかでのこのコメントは、中国への牽制というニュアンスをもって響く。この長官コメントをラビア女史に伝えると、電話の向こうの声が一段高くなった。

 「私は前から申し上げていますが、日本はアジアで最も強い民主的な国家です。その日本が、より積極的に他国の人権状況に関与することが、地域全体の平和と人権状況の向上につながると思うのです。官房長官のコメントと日本に深く感謝するとともに、このことを日本の皆さんにわかっていただきたい」

 ウイグル人の活動家らは多くの場面で、「日本への格段の期待」を口にする。日本はアジアで最強の国であり、ウイグル人と日本人は歴史的にもつながりが深い……。「われわれは同じ血でつながっている兄弟だ」というようなセリフもよく聞く。情にもろい日本人はこれに感動しやすいが、むろんウイグル人が日本人に親愛の情をもっていることにウソはないとはいえ、ほかの背景もあることを忘れてはならない。

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