2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2013年11月21日

 船便の貨物運賃は50~60円と航空運賃の6分の1程度。650円のうちの航空運賃を船便に置き換えれば、最安400円まで下げられる。

 最近は、欧州連合(EU)外に出荷できる日が11月4日に前倒しされ、消費解禁日までに2週間前後の余裕が生まれている。通常、フランスから日本までの船便は約1カ月間かかるが、船便の直行便なら20日前後で着くという。

ドンキの激安ヌーボー
話題性で売り込む

 ドンキの激安ヌーボーは、船便なのか。担当者に直撃すると「ほかのワインは船便ですが、ヌーボーだけは航空便」との回答だった。

 担当者によれば、ペットボトルによる軽量化や安い航空会社の選定、長期契約した生産者からの直買いなどのコスト削減と、1本当たりの利益を最大限減らし、販売量で稼ぐ戦略を取っているという。

 価格設定は、取材した10月下旬には、流通大手のイオンが最安900円で予約販売を始めていたが、ドンキは価格を決める気配もなかった。他社が出揃ったところで、最も安い価格を解禁直前に発表するからだ。

 船便の解禁日着は現実的には難しく、ヌーボーのみ航空便を使うドンキ。解禁日から日が経てば、船便を使い、さらに安い価格設定ができるはずだが、担当者は「盛り上がっている時に商品がないと大損する」と説明する。

 つまり、話題性で薄利多売を追求するのだ。コスト構造の謎は残るが、前出の商社担当者は「ワイン代を110円まで徹底して買い叩けば可能かもしれない。でも、生産者のマージンやパッケージ代は不可欠。原価は数十円かもしれない」と話す。

 だが、コスト削減はそろそろ限界なのか、今年は「最高金賞を受賞したワインを手の届く範囲で」(ドンキ)と品質にも挑戦するようだ。

◆WEDGE2013年12月号より










 

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