安保激変

2013年12月9日

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小谷哲男 (こたに・てつお)

日本国際問題研究所 主任研究員

1973年生まれ。同志社大学大学院法学研究科博士課程満期退学。ヴァンダービルト大学日米関係協力センター客員研究員、岡崎研究所特別研究員等を歴任。専門は日米同盟と海洋安全保障。法政大学非常勤講師及び平和・安全保障研究所・安全保障研究所研究委員を兼務。中公新書より海洋安全保障に関する処女作を出版準備中。

 12年度に航空自衛隊が中国機に緊急発進(スクランブル)した回数は306回で、前年に比べて倍増し、現在もその傾向は続いている。昨年12月に中国機が尖閣周辺を領空侵犯した際、那覇基地から緊急発進したF15が現場空域に到着した時には中国機は既に領空を出ていた。F15がスクランブルをしても、那覇から尖閣諸島までは十数分かかる。

 だが、F15が下地島空港からスクランブルすれば、対処に要する時間を大幅に短縮することができる。

 那覇基地には2つのF15飛行隊を配備予定だが、飛行隊そのものを下地島空港に移駐させる必要はない。F15の整備や訓練は「巣箱」である那覇基地で引き続き行い、整備の終わった機体と訓練が終わったパイロットを「止まり木」の下地島空港にローテーションで配備すればいいのだ。こうすれば下地島空港の新たな設備の整備は必要最小限で済む。

 那覇空港はすでに発着便数が飽和状態にあり、頻繁なスクランブルを行うには支障がある。将来的に那覇空港に第2滑走路ができたとしても、距離の問題から下地島空港の方がスクランブルに適している。那覇基地や嘉手納基地がミサイル攻撃で一時的に使用できないなど、緊急時に自衛隊や米軍が下地島空港を使用できる利点も生まれる。また、大規模災害においては、救援活動の拠点として物資の集積や補給、来援部隊の受け入れが期待できる。

 しかし、1971年に下地島空港の設置に当たって日本政府と当時の屋良朝苗琉球政府行政主席との間で軍民共用化をしないとする「屋良覚書」が交わされており、緊急時を除く軍事使用をすることができないことになっている。

 地元では、04年に中国の潜水艦が先島諸島の領海を潜没航行したことをうけて、一時下地島空港への自衛隊誘致活動が起こったが、その後撤回されている。

 だが、政府は下地島空港の軍事使用ができないとの立場は取っていないし、東シナ海情勢が緊迫する中で、地元との緊密な調整を前提とした大局的な判断が必要である。災害救援という視点も忘れてはならない。

 他には、たとえば石垣島が有望な拠点となり得る。

 現在、石垣島では海上保安庁の「尖閣専従部隊」の整備が進められているが、拡張されている石垣港に海上自衛隊のミサイル艇や掃海艇を置くことができれば、尖閣有事により早い対応が可能となる。今年3月に開港したばかりの新石垣空港は2000メートルの滑走路と誘導路を備えており、緊急時に自衛隊や米軍が利用すれば、より効果的な作戦が実施できる。

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