2024年4月24日(水)

安保激変

2013年12月9日

日本全体も含めた南西諸島防衛強化を

 本稿では、空間領域として大変幅広い南西諸島を侵略や大規模災害から守るために、民間施設である下地島空港の利用に特に焦点を当てた。

 だが、中国は南西諸島周辺の海と空で活動を活発化させ、国際法に反する行動を取る回数も増えている。さらには、南西諸島を越えた西太平洋において、北海、東海、南海の3艦隊が10月下旬から11月初旬にかけて大規模な合同演習も行った。

 自衛隊も3万人規模の大規模な統合演習を行った。今後は、ここで取り上げた下地島と石垣島だけでなく、奄美大島や徳之島など南西諸島に点在する民間空港・港湾施設についても利活用を検討し、統合演習や災害訓練で使用することが求められる。

 もちろん南西諸島だけでなく本土も含めた防衛・災害救援態勢の強化が必要である。南西諸島における自衛隊拠点の抗たん性を保ちつつ、戦略的に縦深性を持たせるために、特に西日本の部隊と南西諸島の部隊との連携を踏まえた強化でなければならない。たとえばオスプレイの訓練を本土の施設で受け入れることは、沖縄の負担軽減につながり、結果として南西諸島防衛の強化につながる。

 これから年末にかけて、安倍政権の下で国家安全保障会議(NSC)の設置や国家安全保障戦略(NSS)の策定、防衛大綱の見直しなど、日本の安全保障政策に大きな転換点が訪れる。

 南西諸島防衛は喫緊の課題である。ここで取り上げた民間施設の有効利用は、現行の防衛大綱や日米ガイドラインでも取り上げられながら、十分に実施されてこなかった。強固な「南西の壁」を築き、中国のアクセス拒否戦略に対抗するためには、日本もアクセス拠点の拡充が不可欠であることを忘れてはならない。

◆WEDGE2013年12月号より










 

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