2024年4月19日(金)

world rice

2013年12月3日

 米国・シカゴの穀物相場のうち、コメは南部で生産される長粒種の取り引き価格が採用されています。気候柄、コメ生産の先陣を切るのは南部で、年が明けると精米業者がその時の国際相場、世界的な生産量、在庫量などを踏まえて買い取り価格を決定。生産者にオファーします。

 西海岸に位置するカリフォルニアでは、こうした南部の動向を見てから契約が始まります。ただ、カリフォルニアの生産面積の8割は中粒種です。中粒種は、世界的な生産量が長粒種と比べて少ないため、シカゴの相場(長粒種)より1トン当たり200ドル程度が割り増しされる傾向にあります。

 生産者は、品種や作付け面積、価格のほか、支払いのタイミングなどの条件面を精米業者と協議し、合意に至れば、種まきに移ります。そして、種まきが終わったことを精米業者が確認し、契約書にサインするのです。

 当然、変動相場制では、収穫後に売り出した方が儲かる場合もありますので、今年は生産可能量のうち何割を作付け前に契約し、何割を残しておくか戦略を練っていくことになります。

 米国にも生産者を支援する制度は存在します。政府系の商品金融公社(CCC)による融資制度や所得補償制度などが代表的です。ただし、国際相場で価格が決まるため、日本のように国内価格と生産費の差額を埋める補助策とは異なります。国際競争力を高める政策です。

 例えば、CCCの融資制度では、1トンのコメを担保に150ドルの融資を受けた場合、返済時に相場が100ドルまで下がってしまっても、返済額は100ドルで済まされ、差額や金利もすべて免除されます。そして、担保を抹消されたコメは、精米業者が精米して国内や海外で販売します。そのため、ほとんどの生産者が融資制度を利用。精米業者にとっても国際相場の急激な下落リスクをヘッジでき、安定した事業が続けられます。

 日本のコメ農家は、政府の保護を受け、ギャンブル的な生産を続けている限り、国際競争力を持つことはできません。今年はどの品種をどのぐらい作付けするか、マーケットを見ながら経営的な視点で生産するべきです。

◆WEDGE2013年11月号より










 

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