5分でわかる「相棒学」
水谷豊と杉下右京の終わりなき挑戦

悲劇に向かうドラマは独創性をましていく


田部康喜 (たべ・こうき)  東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

田部康喜のTV読本

月刊WEDGEに2008年6月号まで約10年間、110回にわたって連載したコラム「読むテレビ」が、インフィニティで復活します。 コラムを読んでくださった方が、そのテレビ番組を見なくても番組について語れるようになる、というコンセプトは変わりません。大きな転換期にさしかかっているテレビ界。スマートフォンやスマートパッドの登場によって、映像コンテンツの価値はより高まっていると思います。ぜひご覧いただきたい番組をご紹介してまいります。掲載回数は月に2回で、第1・第3水曜日にアップ予定です。

»最新記事一覧へ

テレビ朝日の「相棒」シリーズは、シーズン12となって、2000年のプレシーズンと合わせると200本以上のドラマを積み重ねてきた。このコラムのシリーズで「右京はキャラハンかコロンボか」と題して、名作推理ドラマに対するオマージュ(敬意)という視点からその魅力の源泉を探ってみた。過去のシリーズの再放送にはまってしまったからだ。

 「相棒」シリーズの主要な作品のほとんどを観たのではないか、と胸を張れるようになったのはつい最近のことである。

日本を代表する女優たちが演じる犯人との対決

 シーズン12の第8話(12月4日放映予定)「最後の淑女」のゲストスターは、岩下志麻である。「相棒」の出演は初めてではないだろうか。このドラマシリーズに関しては多数の解説本が過去に出ているばかりではなく、ノベライズつまり小説化もなされている。「相棒学」ともいえる愛好家に対して、謙虚に敬意を払わなければならない。

 杉下右京(水谷豊)は過去にどれほど、日本を代表する女優たちが演じる犯人と対決してきたことだろう。フランス文学の教授だった岸恵子が、別荘の密室事件を企てる。杉下は学生時代に彼女の授業を受講している。フランス語で詩の一節を暗唱し合いながら、ふたりの間に静かな知的なゲームが展開する。

 長山藍子が演じたのは、過激派の爆弾づくりを手伝った、恋人が誤爆で死んだ復讐のために、爆弾づくりを依頼した男性を殺そうとする翻訳家である。

登場人物たちの過去が、
最新シリーズにも織り込まれる

 シリーズ12の初回特別編「ビリーバー」で、警視庁捜査一課の刑事トリオのなかから、三浦信輔刑事(大谷亮介)が警視庁を辞職した。事件にからんで足を刺されて不自由となり、捜査活動が難しくなったからだ。「警備会社にでも再就職する」と三浦は、病院に見舞いにきた右京に寂しそうに告げるのだった。

 同僚の伊丹憲一(川原和久)と芹沢慶二(山中崇史)のトリオの中では、ベテランのいぶし銀のような存在である。

 別の事件では、外資系企業の聞き込みに3人で行って、英語ができることがわかり、伊丹と芹沢を驚かせるシーンもあった。

1
nextpage
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
「田部康喜のTV読本」

著者

田部康喜(たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

WEDGE Infinity S
ウェッジからのご案内

Wedge、ひととき、書籍のご案内はこちらからどうぞ。

  • WEDGE
  • ひととき
  • ウェッジの書籍