World Energy Watch

2013年12月5日

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この冬、英国民の3分の2は十分な暖房ができない

 1990年からエネルギー市場の自由化を行った英国では、ガス・電力供給を行っている大手6社がこの冬のエネルギー価格の値上げを発表しており、ガス・電力料金が4%から10%値上がりすることになる。04年に552ポンドだった家庭の年間の平均エネルギー価格は13年12月には1312ポンド(約22万円)に達すると見込まれている。約2.4倍だが、この間の平均所得の伸びは20%しかなかった。所得に占めるエネルギー価格の比率は大きく上昇した。

 最近行われた世論調査では、節約するために32%の人が間違いなく電気を消すか暖房を停めると回答し、35%の人が多分そうすると回答した。実に国民の3分の2が節約のために、節電、節エネを行うことになる。英国第2位のスーパーマーケット、アスダが5500人の母親を対象に実施した調査では、もう少し厳しい結果が出ている。若年層の母親の4分の3、全体の3分の2が、必要な暖房を行うことができないと回答している。

 英国のスーパーマーケットによると、エネルギー価格の上昇に備え食料品への支出も減少している。暖房を取るか食料を取るかの選択を多くの人が迫られていると報道されている。

 こんななかで、BBC放送のニュース番組に出演したデービー・エネルギー気候変動大臣が「私は家でもジャンパーを着ている。皆着ているのでは」とコメントしために物議を醸すことになった。コメントについて聞かれたキャメロン首相の報道官が「個人の行動に関し口を挟むつもりはないが、考慮してもよいかもしれないアドバイス」と述べたために、野党労働党のミルバンド党首から「エネルギー価格上昇に対する政権の回答は、『家でもフード付きのセーターを着ろ』だが、この回答はキャメロン政権が懸命に働く労働者の側に立っていないことを示すものだ」と非難されることになった。

公共性を優先するなら、自由化すべきではなかった

 エネルギー価格の値上げ発表を受け、ミルバンド党首は15年の総選挙で労働党が勝利すれば20カ月間エネルギー価格を凍結するとの公約を早々と発表した。世論調査では50%以上が凍結案を支持した。議会の答弁に立ったキャメロン首相は「国際市場をコントロールできないのに価格を凍結するというのはペテン師の政策だ」と述べ、適切な表現ではないとたしなめられることになったが、キャメロン首相は、ミルバンド党首が労働党政権のエネルギー大臣時代に導入した環境関連の費用を削減することにより、エネルギー価格を引き下げると発表した。

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