2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年12月10日

 それ以上に、米日同盟は中国が越えられない一線を越えたり、日本が武力行使に追い込まれた時には、米の軍事援助が直ちに行われることを意味すると明らかにすべきである。日米は安保条約の防衛条項がいつ発動されるか、明確な討議をする必要がある。放任政策は日米中にとってよくない、と述べています。

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 この論説は、中国による防空識別圏の設定以前に書かれたものですが、尖閣諸島をめぐり情勢が一触即発の危険を秘めていることをよく描写し、危機を避ける外交の必要性と日米の将来事態への対応ぶりについての明確な合意形成を主張しています。現状認識、提言ともに的を射ており、日本にとって有難い論説です。

 ただ、野田政権の尖閣国有化が失敗であったとの評価には、賛成できません。国有化が本当に問題であれば、今国有化されている尖閣を民有化に巻き戻せばよいということになります。そうすれば中国の海監船は尖閣に来なくなるのかといえば、そうはならないでしょう。

 米国の態度については、安保条約の適用を明言しているのは適切です。そして、中国による防空識別圏設定を受けて、安保条約の適用をさらに明確化し、B52戦略爆撃機を中国の主張する防空識別圏内に送り込むなど、真正面から中国の一方的主張にノーと言っています。日米の連携が強固であることも改めて示されました。防空識別圏の設定が、当面、米国に、オースリンの言うような路線をとらせるきっかけとなったと言えるでしょう。


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