2024年4月16日(火)

うつ病蔓延時代への処方箋

2013年12月19日

 もちろんトップが戦略的に組織を良くする考え方を持つことが前提です。チームの力で個人の弱さを相殺できる。むしろ能力を向上させて行けるのです。うつで悩む職場はマイナスですが、能力を発揮できる職場はプラスです。このような職場の問題点を把握し、改善するコンサルティングを実施し成果を出しています。今後の日本にとって不可欠な取り組みであり、より多くのコンサルタントを育成していく目的をもって、資格認定しているのが日本ビジネス心理学学会です。

―― お聞きした話は職場で活用する心理学ということであり、日常生活で生かせるものなのですか。

匠:習慣的なことが重要な要素であり、むしろ日常生活で使えるようにしていかなければいけない。仕事上の目標を作り実行することは、日常行動の積み重ねが左右します。これを改善することは必修の課題です。認知行動を行うということです。そのポイントは「自分を信じるな」です。

 人は自分の行動に対して、正当化し、何らかの理由づけをします。都合の悪いことが起こった時、自分の認識と行動のギャップがあれば、認識を変えて説明する。これが頻繁に起きるようになると良くない。だから、自分を信じるな、なのです。では、何を信じるのか、継続している強み行動を続けることです。これだけにフォーカスする。これは行動療法の発想です。

 職場うつは確かに増えていますが、病気という見方をしたくない。それは日常行動の歪みからくる現象だと思う。それを治療という形で対処しても一時的なものでしかないと考えています。もちろん、程度問題はありますし、緊急的な場合は別な話です。言いたいことは人と仕事のの“場”の相互作用を理解して並行して変革していくことです。そうしなければ増え続ける職場うつが終息へと向かうことはないでしょう。

[特集] 「心の病」にどう向き合うべきか


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