2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年12月23日

 中東和平プロセス、イランの核計画、対シリア外交に取り組むには、アジアへの関与の成功を基盤とする方がよい。

 関与的で創造的な米外交を求める声は高まりこそすれ、衰えることはない。結果として、米国は、いずれかの外交領域を優先することはできないが、アジアは、我々の関与が極めて重要であるので、成功する最も大きなチャンスを与えている。アジアでの成功は、他の地域、とりわけ中東での大きな挑戦に使うことのできる、外交的資産となり得る、と論じています。

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 キャンベルによるアジア重視論ですが、その論理構成はいささか複雑です。

 ヨーロッパでは、域外での共同作戦体制が終わり、もっぱら経済問題中心となったので、政治的関心はアジアに向けられる、という判断はそれで良いと思います。一方、中東については、すべてが行き詰りであり、オバマの評価が地に墜ちているという判断が前提にあり、むしろ地道にアジアで得点を挙げて、オバマ政権の権威を回復してはどうか、という論旨のようです。確かに、現時点では、シリアへの対応をめぐってオバマ政権の評価は最低であり、地域の同盟国は皆オバマから離反しています。しかし、その成り行きは、イラン交渉の成否にかかる面が大きく、その結果が出るまではまだ解りません。

 それに代わるアジアのアジェンダとして、ミャンマーへの関与の増大、ASEANとの、特に南シナ海に関する、制度上の連携強化は、確かに米国が本腰を入れれば成果を上げられる分野です。中国との対話は、過去の経緯からはあまり期待は持てませんが、三中全会のあと、習近平の権力がどこまで固まって柔軟な姿勢が取れるかどうか確かめることは出来るかもしれません。

 それらは、中東の失点を回復するためというよりも、本来オバマ政権が取り組むべき課題です。オバマ政権は、前回の東南アジア訪問キャンセルの埋め合わせとしての、アジア歴訪、アジア政策の新展開を必要としているので、その時に実施すべきものです。ただ、その際、ASEAN、ミャンマーを優先し、中国に関しては、従来の失敗に鑑み慎重に対応すべきでしょう。

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