世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年12月26日

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 11月16日号英エコノミスト誌は、習近平は鄧小平以来最強の指導者として浮上してきたが、これはおそらく良いことだろう、と論じています。

 すなわち、今回の3中全会は、鄧小平が仕切った1978年の3中全会のように中国を大きく変えることになるのだろうか。11月12日に出されたコミュニケや大会前の中国指導部の言動から判断して、われわれは楽観的だ。

 コミュニケには中国共産党的言辞がたっぷり盛り込まれているが、一部の内容は、習が前任者の胡よりも改革に真剣かもしれないことを示唆している。例えば、経済政策では、これまで「基本的」役割を果たすとされてきた市場に、資源配分で「決定的」役割を果たすことを求めている。これは、習の市場重視の姿勢を示すものだが、ひょっとすると国営企業との対決も視野にあるのかもしれない。

 また、政治分野では、改革を監督する「指導グループ」の設置が提案されている。おそらくその任務は、改革を妨害する国営企業や地方政府のボスにお灸をすえ、協力的にさせることにある。

 同じく新設される「国家安全委員会」は、より論議を呼ぶ可能性がある。モデルは米国の国家安全保障委員会と思われるが、軍や警察も管轄に含まれると言われる。そうであるなら、これは、習の力の増大と、勝手に振る舞いがちな治安機関を抑え、他の政府機関とも協力させようという習の決意を示しているのかもしれない。

 勿論、悲観論者から見れば、懸念材料はたくさんある。コミュニケには金融改革や政治的自由への言及はなく、農民の土地所有にもほとんど触れられていない。また、国家安全委員会については、国民を抑圧する手段になる、あるいは、習が治安機関の直接支配に乗り出したという見方もある。

 しかし、習が既得権益や旧来のしがらみを乗り越えようと思うなら、この種の改革は必要だ。あまりにも多くの人々が既存の体制から利益を得ており、改革は容易ではない。そうした中、「指導グループ」は、官僚機構や党内に巣食う改革の障害に切り込む特殊部隊として、また、国家安全委員会は、一部の派閥が外国と揉め事を引き起こし、それがエスカレートして中央の指導部を巻き込む頃には、事態はひどく悪化してしまっている、いうことが起きないよう働くはずだ。

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