2024年4月19日(金)

Wedge REPORT

2013年12月25日

 オンライン英会話学校での仕事をしながら、セブ島現地にある語学学校にも関わった。その語学学校での学習法を知ると「自分のほうが、もっと効率的な教育システムが作れるはず」と、13年4月に独立してセブ島で英会話学校「サウスピーク」を設立した。サウスピークは「3カ月でTOEIC試験の点数を200点上げる」という短期留学型の学校だ。

 13年の11月下旬、都内で行った説明会では「予習を前提としたカリキュラムで、ただ来れば英語ができるようになると期待するような安易な人はお断りしています。そもそも、語学留学というのは楽しいものではありません」と、柴田さんは甘い誘い文句をいうことは一切なかった。

 一方で、英語学習へのこだわりは徹底している。留学前にはフィリピン人講師とのオンライン英会話を受講することを勧める。また、スカイプを使って留学前に面談を行い、現状の英語レベル、到達したいレベルなどを細かく把握して柴田さん自らが個別にカリキュラムを作成している。

 そして、留学してからは「1日11時間の勉強を求めています」というから、その徹底ぶりたるや凄まじい。その分、講師の数を絞り込むなどして受講料の引き下げに努めている。その結果、月額10万9800円という低価格を実現しており、これまで約140人の生徒を卒業させてきた。

 韓国では大学生の3人に1人がセブ島に来ており、これからは日本の大学生の間でも、もっとセブ島への語学留学が一般化するはずと見込む。

 ただ、留学生を見ていて「先進国慣れしすぎていること」が気になるという。「お客さん意識」で、日本と同じサービスを求める人がいるが、それならフィリピンに来る必要はない。英語の習得はゴールではなく、海外で仕事をするためのスタートにすぎない。「実際のビジネスはもっと大変」と、自身でも、事業をはじめて実感しているという。「英語ぐらい使えるようになろうよ」というのが、柴田さんの思いだ。

 「日本は、多様性に対する柔軟さに欠けていると思います」。だからこそ「自分が事業を成功させることで、起業の仕方や働き方に新しいモデルがあることを、証明してみせたい」。

 最後に柴田さんは、こんなことを話してくれた。「フィリピンにいると、国が貧しくなることの怖さを実感する」という。高学歴者や、医師はより稼ぐことのできる外国に出て、残された人は外国からの送金を頼りにする。「もし、日本がこうなったら?」と思うとゾッとするという。

この記事は、WEDGE1月号特集の第1章の一部分を転載しました。本誌では他に、カンボジア、シンガポール、ミャンマー、タイで活躍する日本の若者たちや、「先輩和僑」が語る海外での成功の秘訣も読むことができます。
『「内向き」「さとり」と見くびるなかれ  アジアへ羽ばたく若き〝和僑〟たち』
◎10年後が想像できてしまう、がんじがらめ日本を抜け出せ
◎リスクも閉塞感も小さいアジア
◎先輩和僑が語る「サクセスストーリーは自ら創れ」

 

◆WEDGE2014年1月号より










 

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