Wedge REPORT

2013年12月26日

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マイケル・オースリン (Michael Auslin)

米シンクタンクAEI日本研究部長

ジョージタウン卒、イリノイ大学院で博士号取得。エール大准教授などを経て、現在は米ワシントンのシンクタンクAEI日本研究部長。ウォールストリート・ジャーナルのコラムニストも務める。

 米国の軍事態勢の変更について見てみると、

(1)米海兵隊員2500人規模のダーウィンへのローテーション配備
(2)ローテーション配備の形による米海軍新型沿海域戦闘艦最大4隻のシンガポールへの停泊
そして最大の目標として、
(3)米海軍の艦艇の6割をアジア太平洋地域に配置
というものであった。

 ワシントンの多くの関係者は、ピボットを推進しているのが主に当時のクリントン国務長官とカート・キャンベル国務次官補だということを知っていた。両氏はどちらも、ピボット政策を精力的に推進することで賞賛されたカリスマ的指導者だ。しかし、ピボットの裏にある現実は、謳われた約束に及ぶものではなかった。

 最大の問題の1つは、なぜピボットが必要なのかオバマ政権が説明できていないことだ。政権は一貫して、アジアにおける米国の軍事的プレゼンスをある程度拡大すると言いつつ、ピボットの狙いが中国の劇的な軍備近代化や東シナ海、南シナ海における領有権紛争での強硬姿勢に対抗することにあると明言するのを拒んできた。その結果、米国の同盟国と友好国は、オバマ政権に対し確信が持てずにいた。

 これと密接する事実がある。オバマ政権が尖閣諸島をめぐる争いや南シナ海での領有権紛争に関与しない姿勢を明確にしたことだ。フィリピンなどに対する中国の威嚇や、尖閣諸島周辺海域への侵入にもかかわらず、米国政府は幾度となく、対立する主権の主張については特定の立場を取らず、すべての関係国が論争を平和的に解決することを期待すると述べてきた。その結果、日本やフィリピンのような同盟国は、米国政府はその条約義務を果たさず、自分たちが単独で、中国の強硬姿勢に向き合わねばならないのではないかと危惧するようになったのだ。

 次に、オバマ政権は、アジアで従来以上に大きな役割を果たすと主張しながら、劇的に米国の軍事予算を削減することとしたため、自らの信頼性を損ねた。アジア地域において、向こう10年間の米軍の質的な優位性を疑う人は誰もいない。しかし、中国が軍事支出を年間10%以上拡大し続けている時に米国が軍事予算を減らすという事実は、アジアにおける米軍の長期的優位が次第に疑わしくなっていることを意味する。

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