オトナの教養 週末の一冊

2013年12月27日

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東嶋和子 (とうじま・わこ)

科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師

元読売新聞科学部記者。フリーランスで環境・エネルギー、医療、生命科学、科学技術分野を中心に、科学と社会のかかわりを取材。主著に『名医が答える「55歳からの健康力」』(文藝春秋)、『人体再生に挑む』(講談社)など。新著に『水も過ぎれば毒になる 新・養生訓』(文春文庫)

 水銀の製造や輸出入を包括的に規制する「水銀に関する水俣条約」が2013年10月、約140の国・地域が参加して熊本県熊本市と水俣市で開かれた国連環境計画(UNEP)外交会議で採択された。

 水俣病のような被害を繰り返さないとの思いをこめて、「水俣」の名をつけることをわが国が提案し、全会一致で可決した名称である。

 「水銀に関する水俣条約」は、水銀と水銀化合物の人為的な排出から人の健康と環境を保護するため、国際的に水銀を管理することを目指す。今後、50カ国目が批准した日から90日後に発効する。

「遺言」として次世代に残そうとした対話

『対話集 原田正純の遺言』
(朝日新聞西部本社 編集、岩波書店)

 本書は、水俣病や三池炭塵爆発CO中毒などを医師として、そしてひとりの人間として正面から見つめ、患者に寄り添い続けた故・原田正純熊本学園大学教授の対話集である。

 原田先生は2012年6月11日、急性骨髄性白血病のため、77歳で亡くなられた。本書のもとになった対話は、朝日新聞西部本社の朝刊連載企画として2012年1月8日から始まり、6月3日まで、15人の方々と重ねられた。

 対話の日付だけを見ても、原田先生が一連の対話を「遺言」として次の世代に残そうと、最後の力をふりしぼられたのだ、とわかる。

 熊本学園大学水俣学研究センターの花田昌宣センター長がしたためた「おわりに」によると、「原田先生には数多くの著作があるが、対話を書物にしたものは、水俣学ブックレット第二集『”負の遺産”から学ぶ 坂本しのぶさんと語る』(熊本日日新聞社)を除けば、本書しかない」という。

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