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2013年12月24日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 習近平が2012年の11月に共産党のトップである総書記に選出されると、真っ先に規律引き締めを図り、倹約を励行すべく12月の党中央政治局会議において「8項規定」なる規則を制定した。

 この「8項規定」とは、(1)視察の簡素化(2)会議の簡素化(3)書類の簡略化(4)訪問活動の規範化(5)警備の簡素化(6)報道の簡素化、短縮化(7)草稿、発表のシンプル化(8)倹約節約の励行、を指す。抗日戦争時代に解放軍の前身である八路軍が民衆との関係悪化を避けるため、民衆に配慮すべく「三大紀律八項注意」という規則を作ってプロパガンダを展開したことを彷彿させる。

 一時期は規定の効果が表れ、接待が激減し、高級レストランの経営状態が青息吐息に陥っているという報道が出ていた。ところが10月末に党の規律検査部門である中央規律検査委員会がサイトで公表した数値は驚くべきものだった。全国で2万人近くの幹部がこれに違反していたというのだ。共産党の根本的信条である「人民に奉仕する」を標榜する習政権の正当性を揺るがしかねない結果である。この2万人という数字も疑わしいといえば、疑わしいが、わずか1年という期間の違反者数である。

テレビ番組でも特集
「美味しい食べ物、飲み物、いい接待  期待するな」

 こうした中で人民日報や新華社、中央テレビなどは問題の数字を列挙しながら特集で取り挙げ、危機感を露わにしている。しかし、その徹底は必ずしも順調ではなく、2万人近くが「規定」に違反していたという事実が贅沢克服の難しさを物語っている。現に矢継ぎ早に出される決まりも贅沢禁止が徹底されていないことを受けてのものだろう。

 そこでここでは日本のNHKに相当する中央テレビ局(中央電視台)の「ニュース1プラス1」というニュース解説番組で放映された「美味しい食べ物、飲み物、いい接待 期待するな」という特集を紹介したい。キャスターは中国を代表するアンカーマン、白岩松である。この番組の内容は他のニュースサイトにも「北京のプライベートラウンジ:8項規定は影響なし、やってくる指導者 多すぎ」という別の題が付けられてこぞって転載されている。

* * *

【2013年12月9日 中央テレビ局サイト「ニュース1プラス1」(抄訳)】

 中国共産党中央は「党政府機関が浪費に反対し、節約を厳しく励行することに関する条例」を公表(10月29日の政治局の会議で採択、11月25日新華社電で発表)通達し、各地域や部門が真面目に執行するように求めた。ビジネスで使うレストランでの食事回数、参加人数、宿舎など26の規則、禁令38項目が列挙されている。

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