世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年1月9日

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 米海軍大学のホームズ教授が、ナショナル・インタレスト誌ウェブサイトに「中国の選択的なアクセス拒否戦略」と題する論説を12月3日付で寄稿し、中国のアクセス拒否は、狭い意味での航行の自由への挑戦ではなく、海洋というコモン(共有地)での他の自由への挑戦を含むものであり、より本格的に対抗すべきものである、と論じています。

 すなわち、「アクセス拒否」というのは、よい表現ではない。中国が軍民全ての外国の船や航空機にドアを閉じているわけではない。「選択的アクセス拒否」という方がより正確な用語である。北京は、地域の海や空の通行を統制することを熱望し、中国がそう言っていることを他国が認めるように望んでいる。商業的アクセスには文句はなく、軍事アクセスもすべて拒否するのではなく、特定の軍事活動を制限しようとしている。海では商船と軍艦に航行の自由を認め、最近東シナ海に設定した防空識別圏(ADIZ)を通過する航空機についても同様である。

 これは一見害がないように聞こえるが、中国は、通過航行は問題ないが、戦闘準備行動の権利はない、と主張している。偵察、海中調査、空母での航空機発着は海洋法では領海で禁止されるが、中国はこれらをより広い海域で禁止しようとしている。要するに、領海での無害通航権と同じものは認めるということである。

 クリントン国務長官は、航行の自由は米国の国益である、と述べたが、干渉なしにグローバル・コモンを使用する自由が米国の国益である、とは言わなかった。これは、海洋国家の権利を中国が狭く解するように奨励するようなものだ。国際法の父グロチウスは「自由海」と言ったが、これは運輸の自由だけではない。戦略家マハンは、領海の外の海を「広いコモン」と呼んだ。米は「コモン」に正当な地位を与える必要がある。

 中国はコモンの使用のほとんどを承認している。軍事戦略家クラウゼヴィッツは、政治目標に付与される価値により、そのためにどれだけの努力が払われるか決まる、と言った。中国がアジアの海、空へのアクセスを全面的に拒否すれば、対応は簡単であり、「それは認めない」というだけことである。

 しかし、中国は、見かけ上あまり重要でないこと、例えば、監視や海中調査の自由を守るために米国がどこまでやるのかを試している。米国がクラウゼヴィッツの論理に従い、小さなことのために大きな努力はしない、ということをすれば、地域の強国がその沿岸海域へのアクセス条件を決めることを認め、オープンなコモンという原則を犠牲にすることになる。この「選択的なアクセス拒否」は米国主導の自由主義秩序の中心に打撃を与える。

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