中国メディアは何を報じているか

2013年12月25日

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佐々木智弘 (ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

 18期3中全会で「改革の全面的深化の決定」が採択され、各地方、各官庁が改革に積極的に取り組むための施策を発表し始めている。メディアも成功例を紹介している。

 12月20日付『人民日報』は1面トップで「浙江省が『騰籠換鳥』でボトルネックを突破する」と題する記事を写真入りで掲載した。そして6面で詳細に解説した

 「騰籠換鳥」とは、省内のローエンドの産業(「籠」=既存枠組み)を省外に出すか淘汰して、ハイエンドの産業(「鳥」)に転換することを意味し、要は産業構造の転換のことを指す。

 産業構造の転換は改革の中心テーマである。しかし「騰籠換鳥」といえば、多くの人は現在の中央政治局委員で副総理でもある汪洋の広東省党委員会書記当時の取り組みとして思い出すだろう。それが浙江省で実行されているということで、この記事のタイトルに違和感がある。読んでみるとこの記事は単なる浙江省の成功例の紹介ではない。習近平の「過去の実績」をアピールすることで、改革への積極性を印象づけているともとれるのだ。

 1面の記事は浙江省の産業構造転換の成功を次のように紹介している。

2004年、浙江省のGDPは1.13兆元に達し、面積10.18万平方メートルの資源小省が一躍国内第4位のGDPが1兆元を超える「富省」(豊かな省:筆者注)となった。

2004年末、省党委員会の主要な指導者は明確に次のように指摘した。発展のボトルネックを解決したいならば、経済発展方式を転換し、「騰籠換鳥」を実施しなければならない。

浙江省の「騰籠換鳥」は、粗放型成長方式を改め、空間を飛び出して、「少なく食べて、玉子を多く産み、遠くに飛ぶ」(効率がいいという意味:筆者注)という良い「鳥」を育てることである。

「騰籠換鳥」はその後の浙江省党委員会、省政府の共通認識となり、たゆまず発展方式の転換を推進することを堅持している。

引き継がれた省党委員会、省政府のグループの共同努力の下で、浙江省経済に質的変化が発生した。

2012年に後れた生産能力が淘汰されてから、12744ムー(1ムーは約667平方メートル:筆者注)の土地が新たに利用され、139万トン石炭基準単位相当のエネルギーを節約した。二酸化硫黄、化学的酸素要求量の排出量が14582トン、4809トンに削減され、国家が指示した後れた生産能力の淘汰目標・任務を大きく超えた。

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