2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月5日

 日本政府は、アフリカに対して、あらゆる面で関与することにより、魅力的な選択肢を提供していることを示すべきである。中国との、イデオロギー的、商業的競争は不可避だが、それについては、声高に叫ばない方が賢明であろう、と述べています。

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 確かに、近年の中国のアフリカ進出はめざましいものがあり、アフリカ諸国の資源輸出に大きく貢献しています。その一方で、現地の労働力に頼らず、中国人労働者を派遣する例が多く、現地の雇用に貢献しないとの批判があり、また、その機会を利用してアフリカに新天地を求めて定住を希望する中国人も多く、現地人との摩擦も醸し出しています。また、治安の悪い地域には軍隊の派遣も辞さないという中国の態度は反発を買っています。これに対して、旧植民地支配の傷のある欧州諸国は、対抗措置を取れず、傍観している状況にあります。

 そういう状況において、日本が新たに進出することに対して、欧米は、一面傍観的であり、シニカルではありますが、他面ある程度の期待を以て眺めているというのが実態でしょう。それがこの社説にも表れていると言えます。

 中国との競争を声高に言い立てるべきではない、という社説の主張は、その通りであろうと思います。中国がこれまで造って来た、アフリカの発展にとって不可欠なインフラを、日本としては、それを利用してやるという心構えで、大きく構えていればよいのでしょう。

 アフリカへの関与は、中国との競争という狭い文脈に閉じ込めるべきではありません。社説は、「アフリカは、日本が国際社会における建設的なメンバーであり、中国が言うような軍事的脅威ではない、ということを示そうとしている安倍総理の努力にとっても有用であり得る」と言っていますが、これこそ、安倍総理が掲げる地球儀俯瞰外交の真骨頂であると思います。

 アフリカ進出に関しては、インド政府と協力して、アフリカの「印僑」(インド系移民等)を利用することができないか、検討する価値があるでしょう。従来、東南アジアは華僑、旧英領アフリカは印僑、旧仏領はレバノン・シリア商人という住み分けがありました。その印僑が中国人に圧迫されている状況らしいのですが、現地人にとっては、印僑の方がなじみが深く、抵抗感が無いようです。現地における技術援助、医療援助などに際して、インド系技術者、医者の協力を得る方策をインド政府と協議できないでしょうか。これは、アフリカ政策と同時に、対インド外交の一つの手段となるのではないかと思います。

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