世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月7日

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 1月21日付け豪州戦略政策研究所(ASPI)のブログ・サイトThe Strategistに、Melissa Conley Tyler豪州国際問題研究所ナショナル・エグゼクティブ・ディレクター及びAakriti Bachhawat同リサーチ・インターンが連名で寄稿し、豪州とインドでは、インド太平洋の概念に中国を含めるか否かで見解の相違があるが、豪州がこの地域に今後も関わって行くことには変わりないだろう、と論じています。

 すなわち、2013年の防衛白書でインド太平洋と定義した地域を、大国間の対立の場所としないように守ることは、豪州にとって、死活的利益である。大国間には、インドと中国の間の対立が含まれる。豪州の戦略の中でも、インドと緊密な戦略的パートナーシップを結ぶことは、重要な部分である。しかし、インド太平洋の捉え方には、豪印間で基本的相違がある。豪州は、中国封じ込めと見られるようなものは避けたいと思っているが、インドの主流の考えは、中国を仲間に入れることに反対であり、インド洋で存在感を示す中国を益々警戒している。

 豪州は、中国を除外すると見られるようなものを推進する気にはならないだろう。インド太平洋地域の中心的国家は中国であり、不可欠な国は米国であり、インド太平洋の定義自体に中国は含まれるので、中国を除外することなど考えられない。公式にもそのように考えられおり、豪州の外交政策は、米国との強い同盟、中国との緊密な経済関係、そして地域を不安定にさせないことを目標とする。

 インドはどうかと言うと、インド人の見方に共通するところは、インド洋でのインドの優位を確保することと、域内で増大する中国の存在に懸念を示していることである。インド周囲のパキスタン、スリランカ、バングラデシュ及びミャンマーで中国が港と給油地を増強していることは、インドの戦略家達の強い懸念となっている。インド海軍が中国の進出を恐れているのは明らかで、2004年の海洋ドクトリン及び2007年の海洋戦略では、中国は、「インド洋に戦略的足がかり」を得ようとし、「インド包囲」を企てている、と記されている。「真珠の首飾り」は、海洋包囲網に対するインドの本能的恐怖心を表現したものとも言える。

 この場合、豪州のインド太平洋政策は、難しいものになる。中国を含める考えは、豪中関係にはプラスとなるが、インドの主流の考えとは合わない。中国の貿易を考慮すれば、中国がインド洋に正当な利益を有し、地域の安全保障体制に入ることに、豪州は概して賛成である。問題は、これがインドの見解と相違することである。

 状況は流動的である。インドでは、インド太平洋の概念に関して今も活発な議論がなされているし、豪州のアボット政権がこの概念をどのように扱って行くかは不明である。

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