World Energy Watch

2014年3月12日

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 供給源の多様化はナイジェリアなどからの液化天然ガス(LNG)輸入により実現された。いま、EUの天然ガス輸入の20%はLNGになり、英国、スペイン、イタリアなどに20カ所近い輸入基地が建設された。受け入れ基地の能力は冬場の最大需要を満たすように設計されており、一年を通しての稼働率は低いにも拘わらず、数カ所で新規設備の建設が進んでいる。

 さらに、新規の供給源として期待されているのが、アゼルバイジャン、トルクメニスタンなどのカスピ海沿岸、中央アジア諸国だ。埋蔵量は液化天然ガス換算で150億トンある。原発停止の影響により大きく増加した日本の消費量が年間1億トンには届いていないことから埋蔵量の大きさが分かる。中央アジアからEUまで天然ガスを送る3つのパイプラインプロジェクトが、スイス、ドイツ、トルコ、オーストリアなどの企業により検討されている。

 ロシアはこれに対抗し、イタリアの半国有石油・ガス会社ENIなどと組み、液化天然ガス換算で年間4500万トンを、ブルガリア、ハンガリー、イタリアなどに送るサウスストリームと呼ばれるパイプラインを建設している。ロシア側では12年12月に工事を開始し、14年1月には黒海の海底部分の工事についてもドイツ、ロシア企業と着工の合意に達したと発表されている。15年には一部完成し、19年には完工の予定だ。

 EU委員会はサウスストリームの経済性に疑問を投げかけ、13年12月にはEU委員会のエティンガーエネルギー担当委員が、サウスストリームからの天然ガスを購入する二国間契約を締結する国はEUの法を順守する必要があると述べ、牽制する事態になっている。しかし、EU諸国が全てロシアへの依存度を下げようとしているかと言えば、そうではない。国によりロシアに対する対応には差がある。

EU諸国のロシアに対する温度差

 ロシア、ウクライナ紛争を受け、供給源の分散化を進めるEUが取ったもう一つの方策は、ウクライナを経由せずロシアの天然ガスを輸入するパイププラインの建設だった。ドイツはノードストリームと呼ばれるバルト海を通るパイプラインをロシアから直接引き込み、11年末に部分開通、12年10月に完工させた。年間の輸送能力はLNG換算で4000万トンに相当する。

 このノードストリームの建設については、ロシアへの依存度を高めることになるとして、ポーランド、バルト3国などから激しい批判があった。しかし、ドイツは、天然ガスに加え、石油、石炭もロシアに大きく依存している。ドイツの化石燃料供給におけるロシアのシェアは図の通りだ。ドイツは全一次エネルギー供給の約30%をロシアに依存しており、ロシア離れをするにも、もはや難しい状況にある。

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