そもそもオバマは
アジア回帰に熱心でない?


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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米AEI日本研究部長のオースリンが、2月3日付ウォールストリート・ジャーナル掲載の論説で、ハリー・リード上院院内総務がTPPの推進に必要な貿易推進権限(Trade Promotion Authority:通商交渉を速やかに行う権限)を審議しないと述べたことは、何故オバマのアジア回帰が暗礁に乗り上げたかを改めて明らかにしている、と述べています。

 すなわち、オバマはアジア回帰を約束したが、この容易でない戦略的移行を実施するのに必要な政治的働きかけはしなかった。

 TPPは軍事的プレゼンスの増大、外交的関与の再開とともにアジア回帰の3本の柱のうちの経済の柱であったが、あとの2つの柱もしっかりしていない。中国の防空識別圏設定に対する米国政府の反応は控えめであったし、南シナ海で操業する漁船は中国の警備艇に所属を明らかにせよとの最近の中国の要求に対しても、ほぼ沈黙を守っているのみである。

 オバマはアジアの危険に対し、日を追うごとに関心を払わなくなっているようである。昨年議会での予算を巡る争いのためとはいえ、ASEANの主要な会議を欠席したし、いまやケリー国務長官は中東問題を優先している。

 米国にとっての真の危険は、米国が張子の虎とみられるようになっていることである。

 オバマ政権はアジアで何を目的としているのか、民主主義の推進なのか、中国封じ込めなのか、を明らかにせずに、漫然と現状維持国の立場をとっている。アジアにおけるプレゼンスを維持する必要につき説得力のある説明をしないでいる。

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