世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年4月2日

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 米国の地政学者、ロバート・カプランが「リアル・クリア・ワールド」サイトに2月13日付で、「何故中国は隣国を挑発しているのか」と題する論説を掲載し、習近平政権は国内的に民族主義的感情を満足させ、政権強化するために対外的に強硬な姿勢をとっているのではないか、と論じています。

 すなわち、南シナ海での漁業規制の宣言と、その前の東シナ海でのADIZ(防空識別圏)設定は、米、日、近隣諸国の反発(米B52の当該ADIZ飛行など)を呼び起こしている。

 中国は、吠え声は大きいが、かむ力は小さい。ADIZのために必要な早期警戒能力で中国は日本などより遅れているし、スプラトリー諸島の占拠を継続させる兵站能力もない。

 中国海軍は、日本を除く近隣国を圧倒し得るが、米国を含む国家連合には勝てない。そして島の占拠、軍事対決、ADIZは米国を引き込むことになる。

 しかし中国が現実の紛争は回避しつつ、国内世論対策で米国との緊張を高めようとしているとすればどうか。中国の行動はそういうことで説明できる。中国は海空において優位ではなく、戦略的状況を変えられない。それゆえ、米国は中国の行動をほぼ無視している。

 今起こっているのは、中国の台頭を中国国内に示すための管理された対決である。

 中国は、その一方的行動が米の注意を惹き過ぎ、費用が便益を上回る時には、他の方面に行動を向ける。フィリピンとの対決はトーンダウンされ、東シナ海、日本に焦点を移している。さらに、東シナ海での緊張も緩和されうる。中国政府の行動は、国内向けイメージ操作を主目的としている。

 中国の軍事力は他のアジアの国より速いスピードで増大している。危機を起こさず時を稼ぐと、自らに力関係が有利になる。鄧小平は低姿勢を取るように言ってきた。

 もし国内的圧力がなければ、そういう長期的対応をすればいいが、中国の今の指導者は国内的圧力を受けている。「経済的奇跡」は数年前ほどではない。習近平はその圧力を緩和する梃子としてナショナリズムを利用している。

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