ウェッジ新刊インタビュー

2014年3月28日

»著者プロフィール
閉じる

中田正則 (なかた・まさのり)

フリーライター

1956年京都府生まれ。早稲田大学卒。出版社等勤務を経て1986年に独立。以来、主として雑誌媒体で、ビジネス・経済・経営・人事分野の取材記事やインタビュー等を中心に執筆。

――丸山先生ご自身は、どのような研究を進めておられるのでしょうか?

丸山氏:私はちょうどそのアミロイド蛋白質の見つかった頃に研究を開始しました。まずは培養細胞のモデル系をつくろうということで、培養細胞にアミロイドの遺伝子を入れてアミロイドをつくり、アミロイド生成を阻害する薬物をスクリーニングするという研究をずっとやってきています。 

 ちなみに、5年ほど前に、すでに臨床使用されているものですが、副作用があまりなく、アミロイドを大量に減らすことができる薬物を見つけました。ただ、それを学会で発表をして、特許が取れなかった。これは残念でした(笑)。

 このほか、私を含むグループ研究としては、いわゆるiPS細胞での研究もしており、昨年患者様から提供された細胞から作成されたiPS細胞を作成し、神経に分化させるとアミロイドが増えているといった研究発表もしています。

――認知症はいずれすぐに治せるというような報道も見られますが、なかなかそう簡単にはいかないのが現実なのですね。

丸山氏:最近は、メリハリの利いた配分とか成果主義という一見合理的な基準のもとで、特定の分野に多額の研究費が費やされます。本来、そのようなある種偏った配分をするためには、どの研究が将来有望であるかという評価が的確にできなければいけない。しかし、将来どうなるかは誰もわからないわけですね。

 にもかかわらず評価をするということになると、何となく流行っているところに潤沢な研究費が提供されることになります。すると研究者は、すぐ新聞に載るようなわかりやすい研究成果を求めることになる。

 だからこそ、ねつ造(あるいは試験データの不適切流用)も起こるわけです。研究に悪い意味での圧力がかかって、そのために明日にも病気が治るというような発表を誘発すると言えます。

 したがってアルツハイマー病に関しても、様々な報告が出ていて、その通りなら今ごろは完全にアルツハイマー病は制圧されているはずなのですけれども、現実はそうではない。

 実際には認知症の治療はまだまだ難しいし、明日にでも病気が治りそうだというような新聞報道が出たとしても、ことはそれほど単純ではないのです。こうした実情も、一般の読者の方にぜひ知っておいていただきたい。それが、この本を執筆した理由の一つです。

関連記事

新着記事

»もっと見る