2024年4月20日(土)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年3月28日

 それは、企業をなお取り巻く逆風の経営環境を改善することであり、六重苦(円高、電力料金高、高い法人税、厳しい環境対応、FTA参加の遅れ、硬直的な労働市場)の改善を引き続き続けることである。また、企業活動を制約する規制の緩和を引き続き推進することもある。

 すでに、円高は大きく修正されている。これからは、法人税減税を進め、TPPや日中韓FTAを早期に実現し、大胆な規制緩和を実現する戦略特区をスタートさせることだ。

 企業の新陳代謝も加速させなければならない。成長戦略(「日本再興戦略」)では企業の新陳代謝を進めることが明記されているが、それは新規企業の方が既存企業よりも生産性が高く、雇用吸収力も大きいからであり、現在欧米の半分ほどしかない開業率と廃業率を同時に上げることが日本経済の活性化に直結するからである。

 景気が堅調な今が構造改革を進める好機である。それは、企業にとってリスクを伴う新たなビジネスフロンティア開拓を行いやすい時期であり、なにより痛みを伴う大胆な構造改革は好景気のときでなければ行いにくいからでもある。

 日本経済では、かなりの賃上げが実現されつつあり、消費税引き上げを乗り越えれば好循環に至る次のステップが見えてくる。そして、次のステップにうまく乗るには、徐々に経済でのウエイトを官から民に移しつつも、政府、企業のそれぞれの役割を自覚した官民協調プレーが欠かせない。


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