チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年4月1日

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 この二つの海を自らの支配下に置くという中国の野望をいかに阻止するかはおそらく、アメリカの今後のアジア政策の重点の中の重点となろう。オバマ政権が「アジアへの回帰」を宣言したのも、米国海軍が2020年までに所有する艦隊の6割を太平洋沖に配置すると決めたのも、まさに中国の海洋侵略を阻止するための戦略的措置であることは誰の目から見ても明らかであろう。

アジアにおける米中の対立

 今月下旬から始まるオバマ大統領のアジア歴訪も、まさにこのような「中国封じ込め戦略」の一環と見なすべきである。

 アジア歴訪の訪問国は、日本、韓国、マレーシア、フィリピンの4カ国である。第二次オバマ政権発足以来初めてのアジア訪問であるが、中国の習近平国家主席が去年アメリカを訪問したにもかかわらず、今回の大統領アジア歴訪では中国を外している。

 そして訪問する予定の4カ国のうち2カ国、すなわち日本とフィリピンは、今まさにアジアの海において中国と激しく対立している。特にフィリピンの場合、その国の現役の大統領が習近平政権を名指しして「現代のヒトラー」と激しく糾弾していることからも、中国との対立の深刻さがうかがえる。おそらく中国からすると、日本の安倍政権がアジアにおける「中国包囲網」構築の「黒幕」であるならば、フィリピンは「反中勢力」の急先鋒なのであろう。

 しかし中国からすれば大変不愉快なことに、この4月、米国のオバマ大統領は中国を差し置いて、まさに中国にとって「敵国」である日本、フィリピンという二つの国を順番に訪問していくのである。米国の思惑は明らかである。要するに日米同盟を強化しながらそれを基軸に、反中急先鋒のフィリピンを抱き込んで「中国封じ込め」を進めようとしているのだ。

 それこそが、米国の進める現実主義的アジア外交の真の狙いであり、戦略的着眼点なのである。もちろん、米国のこのようなアジア外交の志向は日本のそれとまったく一致しており、中国の海洋での膨張を封じ込めることこそ日本にとって最大の国益である。

 こうして見ると、今のアジアにおける根本的な対立は、すなわちアジア周辺の海の安全と航海の自由を守ろうとする日米と、力ずくで秩序を破壊して海を支配しようとする中国との戦略的対立であることが分かる。その中で、アメリカはアジアの現実に立脚した外交戦略を進めているのに対し、劣勢に立たされている中国は、「歴史問題」を振りかざし日米同盟の一方である日本を徹底的に叩くことによって、日米同盟に対する優位を勝ち取ろうとしているのだ。

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