日本は原発を輸出すべき
本質を歪める「5つの論点」

国際的視野からの戦略的アプローチこそ必要


金子熊夫 (かねこ・くまお)  外交評論家・エネルギー戦略研究会会長

1937年愛知県生まれ。ハーバード大学法科大学院卒。70~80年代に外務省初代原子力課長。89年に退官後、東海大学教授を経て現職。著書に『日本の核・アジアの核』(朝日新聞社)などがある。

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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福島原発事故から丸3年。事故の後遺症はいまだ癒えず、原発再稼働の目途も立たない中で、政府が進める原発輸出政策には国民の間に心理的抵抗や倫理的違和感が少なくないようだ。福島事故の深刻な影響、とりわけ福島の被災者が蒙った、筆舌に尽くしがたい被害や苦痛を考えれば、こうした反応が出てくるのは当然だとは思う。

 しかし、原発輸出問題は、そうした国内的な面だけではなく、国際的な面からも考えるべき問題であり、軽々に判断することはできない。この問題をめぐる現在の国内の議論を聞いていると、果して原発輸出の意義や問題点が正しく理解されているかどうか、甚だ疑問に感じる。よって、長年この問題に深く関わって来た者として、敢えて意見を述べておきたい。

問題点(1)
「原発輸出は倫理的に許されない」という議論

 このところ原発輸出や、その前提としての二国間原子力協力協定問題をめぐって国会でも連日激しい議論が繰り広げられている。野党だけでなく自民党や公明党の中にも反対論が少なくないようだ。さらに日本維新の会では、一貫して賛成論の石原慎太郎共同代表と、主に大阪出身の若手議員の間で激論が戦わされ、挙句の果てに、石原氏に対し「党の方針に従わないなら離党せよ」という意見まで出た。結局石原氏が折れて、事は一時的に収まったようだが、いかにも異常な状況と言わざるを得ない。反対派の議員たちは、「福島原発事故の深刻さを考えれば原発輸出などとんでもない」という、いわば感情論で動いており、原発輸出や原子力協定問題の本質を正しく理解しようという雰囲気はほとんど全く感じられない。

 こうした空気を反映してか、マスメディアも原発輸出問題を正面から取り上げようとはしない。これでは一般市民が判断する材料も提供されず、成熟した議論が成り立つはずもない。

 国会では、昨年末の臨時国会に提出されたトルコ、アラブ首長国連合(UAE)との原子力協力協定案が、特定秘密保護法審議の紛糾の煽りで審議入りできなかった。その結果今国会に持ち越しとなったわけで、近く衆参両院の外務委員会での本格審議が始まるが、その際には、単に感情的、倫理的な観点からだけではなく、国際的、戦略的な視点に立って十分バランスの取れた議論を是非展開してもらいたいものだ。詳しい論点は以下に述べる。

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著者

金子熊夫(かねこ・くまお)

外交評論家・エネルギー戦略研究会会長

1937年愛知県生まれ。ハーバード大学法科大学院卒。70~80年代に外務省初代原子力課長。89年に退官後、東海大学教授を経て現職。著書に『日本の核・アジアの核』(朝日新聞社)などがある。

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