ルポ・少年院の子どもたち

児童自立支援施設・茨城学園 自分の過去と向かい合った卒業生たち

大元よしき (たいげん・よしき)  ライター

1962年東京生まれ。外資系IT企業からライターに転身。スポーツのほか、歴史関連も執筆中。著書に『あの負けがあってこそ』『命のバトン―自閉症児と個性派不登校児の教室』『1万回の体当たり―タックルマン石塚武生 炎のメッセージ』(以上ウェッジ)、『一緒に見上げた空』(扶桑社)。

ルポ・少年院の子どもたち

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 「私たちは様々な事情でこの茨城学園に入ってきました。誰もが自分の過去と向き合い克服しようとして生活してきました。でも反発し、ごまかし、適当に反省したふりをしたこともあります。逃げ出したこともありました。いま冷静に思い返せば、そういう行為が自分のためにはならなかったと断言できます。そのときは反発し、暴言を吐きふてくされますが、時間が過ぎて頭が冷めてくると自分のしたことを後悔するだけでした。その時の苦い気持ちを再び味合わないように素直な気持ちで生活していきたいと思います」

 彼は卒業後就職する道を選んだ。母子家庭なので早く家族を養えるようになりたいという理由からだ。

広い敷地、豊かな自然の中で

 ここで児童自立支援施設をおさらいしておきたい。

 ~不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により、生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせ個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者についても相談その他の援助を行うことを目的とする施設~と児童福祉法に記されている。

豊かな自然に囲まれた茨城学園

 以前は「感化院」その後「教護院」と名称が変わり、平成9年から現在の「児童自立支援施設」に変わった。

 現在全国に児童自立支援施設は58施設あり、その内訳は国立2施設、私立2施設、都道府県立および市立54施設となっている。各地の家庭裁判所で児童自立支援施設送致の決定が出た場合は、一部の例外を除き、原則的に県内の児童自立支援施設に収容される。

 また児童自立支援施設は少年院と違い原則として施錠された部屋に入ることはなく、施設の門扉も施錠されていない。概ね家庭的で開放的な環境の中で生活指導や学科指導、職業指導などを行う施設であり、この茨城学園は「児童自立支援(生活指導)」と那珂市立第一中学校と那珂市立五台小学校の分教室としての「義務教育(学習指導)」に分かれている。

 生活するための寮は5つに分かれ、各寮に生活指導の職員が約7名ずつ配置されて宿直、早番、遅番を担当し、学校での授業は教員が担当するが、生徒・児童の不安定な時は職員も教室に入って共に指導を行う。

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「ルポ・少年院の子どもたち」

著者

大元よしき(たいげん・よしき)

ライター

1962年東京生まれ。外資系IT企業からライターに転身。スポーツのほか、歴史関連も執筆中。著書に『あの負けがあってこそ』『命のバトン―自閉症児と個性派不登校児の教室』『1万回の体当たり―タックルマン石塚武生 炎のメッセージ』(以上ウェッジ)、『一緒に見上げた空』(扶桑社)。

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