「絶対不可能」だった社食設置
乗り越えたオルビスのチャレンジとは


小川たまか (おがわ・たまか)  プレスラボ取締役

1980年東京生まれ。編集プロダクション・プレスラボ取締役。ニュースサイト「下北沢経済新聞」編集長。経済誌やニュースサイトで企業取材、教育問題などを取材する一方、江戸文学も好き。Yahoo!個人でも執筆。Twitter:@ogawatam

社食に企業の想いあり

安くて気軽に利用できる、会社員の味方「社員食堂」。からだに優しい食材にこだわったり、自社製品を使用したメニューを提供したり、社食にはそれぞれの企業の工夫が凝らされている。その工夫は、自社の社員や社会全体に向けられたメッセージではないだろうか。社食を通じて表現したい企業の「想い」を紹介する。

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最寄駅は東急池上線戸越銀座駅。テレビでもよく取り上げられる戸越銀座商店街を横目に路地を入っていくと、5分ほどで中原街道沿いに立つオルビスの本社ビルに到着する。テナントとして入居しているため、長いあいだ「実現不可能」と考えられていた社員食堂ができた理由のひとつは、「NOよりYES」という同社の行動指針だった。

ブランド再構築のために
キーワードは「NOよりYES」

 150席ほどが並ぶ食堂スペースに、配膳カウンターとサラダバー。自動販売機もある。社員食堂としては中規模といった印象だが、決して狭さは感じない。もともとは休憩室だったスペースを1年前に社員食堂に改装したというが、そう聞かなければわからないほどしっくりとビルに馴染んでいる。壁は“オルビスカラー”の薄い水色だ。

壁の色はおなじみのオルビスカラー

 社員食堂が欲しいという要望はこれまでもあったが、テナントとして入居していることからガスの配管がなく、火を扱う厨房施設を作りづらいため、本格的に検討されることはなかった。なぜ実現に至ったのだろう。「だいぶ話が遡りますが……」と話してくれたのは、ポーラ・オルビスホールディングス・コーポレートコミュニケーション室広報担当の小川洋之課長だ。

 オルビスは1985年、ポーラ化粧品本舗(現・ポーラ)から別会社として設立した。ただし当時、ポーラが訪問販売であることに対してオルビスは通信販売のみであることをはじめ、ブランドコンセプトや価格帯が異なるため、当初はポーラとの関係を明かさず販売を行っていた。オイルフリー、安心・安全というコンセプト、当時としては珍しい送料無料、お客様都合での返品OKのサービスなど、当時はまだ信頼度の低かった通販を安心して利用してもらうための施策が功を奏して順調に業績拡大。90年代には年間売上が100億にのぼり、さらに99年にネット通販、2000年にショップ展開をスタートしたことを機に一気に500億まで拡大した。

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「社食に企業の想いあり」

著者

小川たまか(おがわ・たまか)

プレスラボ取締役

1980年東京生まれ。編集プロダクション・プレスラボ取締役。ニュースサイト「下北沢経済新聞」編集長。経済誌やニュースサイトで企業取材、教育問題などを取材する一方、江戸文学も好き。Yahoo!個人でも執筆。Twitter:@ogawatam

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