2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年4月17日

 中国の接近拒否戦略に対抗する長距離攻撃力が不足しているので、米国はレッドラインをバックアップするのに今までにないリスクを取らなければならない。

 この状況が改善されるまで、米国の政策責任者は、米国の空・海軍力が強大であるとの評判を維持し、米国がやがて設置するレッドラインが挑戦されずに済むことを望む以外にない、と述べています。

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 オバマ政権が、対中自制策を取れば中国も自制すると期待していたとすれば、それは希望的観測に過ぎなかったと言えます。最近の米政府高官の対中強硬発言は、中国の拡張戦略を直視し始めたことを意味するものと考えてよいでしょう。

 論説は、中国の南シナ海への進出に米国がレッドラインを設置しても、米国はそれをバックアップする戦力を持っていないのではないかと疑問を投げかけています。20年にわたる中国の海軍力の増強に対し、米国は長距離攻撃力が不足し、中国の行動を抑止できないのではないかと言っています。これはアジア太平洋地域、特に南シナ海において海軍力の軍事バランスがすでに中国に有利になっていることを示唆するものです。このような見方は検証を要しますが、米海軍力を過小評価しているとの感を抱かざるを得ません。

 なお、尖閣諸島については、米国政府は繰り返し日米安保条約が適用されると述べ、すでにレッドラインが設置されていると言って良いでしょう。

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