中国メディアは何を報じているか

2014年4月11日

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佐々木智弘 (ささき・のりひろ)

防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授

1994年慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長を経て、2014年2月から現職。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。

統制強化と縮小する政治的寛容性

 これまでのPX反対運動でもデマは流れたし、大なり小なりの当局との衝突もあっただろうが、中央当局はPX反対運動を地方政府批判と政治的寛容性のアピールのためにうまく利用してきた。

 しかし、茂名でのPX反対運動をめぐる一連の報道が、地方政府批判の側面を残しながらも、デマを検証し、またデモの性質の転化を強調しその違法性をアピールしたことは、中央当局の認識の変化を反映していると考えるのが自然だろう。

 それは、昨年10月の北京市の天安門での爆発事件や今年1月の雲南省昆明市での無差別殺人事件など各地で衝撃的な事件が続いていることと無縁ではない。茂名での「不法分子」「違法分子」の行動もそれらと同一視されたのだろう。デマに対する執拗なまでの反論も、デマが引き起こす社会不安に対する警戒感の強さを反映してのことだろう。

 PX反対運動に対する習近平政権の認識の変化は、統制強化の一貫であるとともに、今後政治的寛容性が縮小されていくことを予感しているように思われる。


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