2024年4月20日(土)

科学で斬るスポーツ

2014年5月7日

 「肝臓の鉄分は食べたからといってすぐには貯蔵されないので、日頃の食事の中で、計画的にとることが大事」(管理栄養士)という。レバーやほうれん草など鉄分を多くとることが推奨されている。

 日本サッカー協会も栄養指導には積極的だ。2010年のワールドカップ南アフリカ大会では、日本代表の食事は日本から派遣したベテランの料理人が作った。和食を中心としたビュッフェ方式。その前のドイツ大会は、後半のスタミナ切れが指摘され、食事改善は選手強化の柱の一つだった。

 大会前の高地トレーニングに合わせ、普段からレバー、ウナギなど鉄分の多い食事が推奨された。ハーフタイムには、血糖値の低下を防ぐため、炭水化物(でんぷん)をベースに、エネルギーを生み出すのに不可欠なクエン酸を加えたドリンクを飲んだ。

 ただ、急激に血糖値を上げると、血糖値を下げようとインスリンが出過ぎてしまい、逆に低血糖状態になってしまうので、血糖値を刺激しないよう工夫されているという。

現地での食情報も重要な要素

 このほか、国立スポーツ科学センター(JISS)栄養グループの現地食環境調査報告や、日本スポーツ振興センターの「マルチサポート・ハウス」も選手のパフォーマンス向上に大きく貢献した。

 栄養グループの報告は、ロンドン、ソチ五輪開催前に現地に行き、どこで、どんな食事ができるか、水は硬水なのか、軟水なのか、地元の料理を食べる時の注意などをまとめたもので、選手団に提供している。

 下に紹介したのが、ソチの食環境調査報告(第1報、全10ページ)の一部だ。

図3(左)時差ぼけ、食事のポイントなどを紹介
図4(右)選手村の食堂の様子や炭水化物摂取についてアドバイス(いずれもJISS栄養グループ作成) 拡大画像表示

 ここでは時差ぼけ対策、食事のポイントが丁寧に書かれている。興味深いのはピザやチャーハンは脂質が多いため、満腹になりやすいが、必要な炭水化物は取れないということ。ごはん300g分の炭水化物をとるのに、ロールパンは8個必要だが、バターなどが含まれるためカロリーは極めて高いことにも注意を促している。


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