2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月12日

 要するに、オバマと習の訪欧で、EU官僚たちは、米中と共にEUがG3の一翼を担うようになると思ったかもしれないが、三者の中で欧州は一番立場が弱い。単一通貨と同様、単一の貿易政策も、自由化推進と足元の経済の活性化の一環として押し進めなければ、EUはグローバリゼーションの波に押し流されてしまうだろう、と報じています。

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 3月末に米中首脳が相次いでEUを訪問した事を捉えて、中国が米国に匹敵する、経済、貿易の重要性を持ったことに改めて目を開き、また、EUが米中と並んでG3を称するには、まだまだ課題が多いと指摘した論説です。

 中国と言えば、軍事力の増強に注目が集中している昨今、経済大国の出現として捉えた論説です。

 確かに統計の数字を見れば、経済大国の出現と言って当然です。ただ、それほどの影響力が感じられていないのも事実です。

 歴史問題などをめぐって、「日本は中国への経済依存度が大きいから、対中関係を悪化させられないでしょう?」などと聞く外国評論家もいますが、実際には中国は、その経済の大きさを対日外交の梃子には使っていませんし、使うケースも限られています。厖大なドル債権も対米外交には使っていませんし、使える現実的なシナリオが思い当たりません。日米経済関係が、日本の対外政策に及ぼす死活的影響とはまるで次元が違います。台湾とか、資源の輸出国である豪州とかは別にして、中国が経済力を外交に使える範囲は限られているように思えます。

 やはり、この論説も指摘しているように、中国経済の先行きにも、また現在の経済活動にも、もう一つ信頼性の欠けるところがあり、各国とも、警戒して用心深く付き合っていると言うのが実情なのでしょう。

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