世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月15日

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 4月8日付の豪シドニー・モーニング・ヘラルド紙の社説は、アボット豪首相の訪日時に決定された日豪経済連携協定(EPA)の締結は、画期的外交成果であり、日豪両国民が利益を得るものである、と論じています。

 すなわち、豪州にとって歴史的にも重大な政治的出来事は、日豪自由貿易協定(FTA)の合意である。70年前、両国は戦争で血を流して戦ったが、それ以降、日豪関係は、最も緊密な関係の1つへと進化してきた。貿易が変化を促した。長期的には、両国の利益は、何十億ドルにも上ると予測されている。

 アボット政権ができて、これ程早く日本及び韓国とのFTAに合意したことは、見事な成果である。アボット来日中に日豪が示した相互の外交努力は素晴らしいものだった。アボット首相は、最大規模の経済代表団を日本に同行させた。アボット政権誕生から7カ月間、豪州は、日本との関係を真剣に発展させたいとのメッセージを頻繁に日本に送った。

 日本では、閣僚全員が、アボット首相一行の公式歓迎会に出向いた。安倍総理は、公式晩餐会を主催するとともに、日曜日には私的夕食会にもアボット首相を招待した。初めての日本訪問で、それも初期の関係構築で、このようなことは稀である。夕食会の雰囲気はとても良かったと伝えられた。おそらく、両首脳は、強硬な野党に対抗して改革を進める保守指導者としての共通の役割に関しても意見交換をしたことだろう。

 7月には、安倍総理が豪州を公式訪問し、豪州の議会で演説を行う初めての日本の総理となろう。そして日豪経済連携協定(EPA)が正式に署名されるだろう。EPAによって、97%の豪州の対日輸出品の関税が撤廃ないし引き下げられる。また、それは、地域で突出した中国に対して、日本の貿易及び外交範囲を拡大するという安倍総理が推進している目的にも役立つものである。

 豪州の輸出業者は、アジアで最も裕福で2番目の規模の市場にアクセスしやすくなるし、豪州の消費者は、より安く製品を購入できるようになるだろう。日本でも同様の利益が得られよう。

 一番利益を得るのは豪州の牛肉及び乳製品業界だろう。ただ、日本の38.5%の牛肉関税は、段階的に何年もかけて引き下げられる。冷凍牛肉に関しては半分まで、生肉に関しては23.5%までである。消費者にとっては、日本車はすぐに安くなるだろう。日本の対豪投資もしやすくなるだろう、と論じています。

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 日豪両国の外交努力を評価した好意的解説記事です。アボット首相の訪日を機に、7月の安倍総理の豪州公式訪問も注目されるものとなりそうです。

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