2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月22日

 また、登録NGOでさえ、公的支援抜きには資金集めができないが、独自の資金集めが許されるべきだ。公的配分資金についても、政府にコネがあるものや役人運営のNGOに多くの資金が行っており、透明性を高めなければならない。

 しかし、中国の市民社会の成長にとって最も役立つ改革は、NGOに限らず中国全体が必要とする、より強力な司法、人々の要求に敏感に反応する人民代表会議、独立した報道機関であり、これらがもたらす透明性と説明責任だろう、と述べています。

 さらに、同じ号の別の記事では、次のように、中国において市民社会が形成されることへの強い期待を表明しています。

 すなわち、党はNGOを党の目的達成に役立つ手段と見ているが、もはや上からの政治で社会のニーズに応えることはできず、さらに、社会参加を求める新世代が出現した今、市民社会が一定の役割を果たすのは不可避の流れである。そこで、奇妙な暗黙の協定が成立し、党とNGOの双方が短期的目標を推進しながら、将来、事態が自分の側に有利に進むことを期待して妥協しているのが現状である。

 勿論、別の社会問題、政治問題が多発すれば、市民社会の形成へと向かう動きは否定されてしまう。また、習政権下で政治的抑圧はむしろ強まっている。しかし、国家が後退し、家族形態が変わり、社会の紐帯が限界まで引き伸ばされている今、NGOは社会の結合に役立ち、経済力と自信をつけた新世代に支援されている。もはや党がNGOを後退させようとしても、簡単には行かないだろう、と言っています。

* * *

 中国におけるNGOの今後の役割に対する期待の表明ですが、全体のトーンとしては、期待過剰で、見通しが甘すぎると言わざるを得ません。


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