世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月23日

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 米国の地政学の第一人者の一人、ロバート・カプランが、軍事、外交、経済の地政学があるのと同様、エネルギーの地政学もある、と4月4日付フォーブス誌で論じています。

 すなわち、アジア太平洋安全保障研究センターのモハン・マリク教授の研究によれば、今後20年間のエネルギー消費の伸びの85%が、インド太平洋地域由来となる。既に、世界の石油の少なくとも4分の1が中国、インド、日本、韓国で消費されている。ここで重要なのは、インド太平洋地域が、石油を中東にますます依存するようになるだろうということである。2030年までに、中国の石油の80%、インドの場合は90%、が中東産となろう。

 北半球においては、米国が世界のエネルギー生産の巨人として浮上しつつある。米国は現在、ロシアを抜き世界最大の天然ガス生産者となった。これは、1973年第四次中東戦争前の時期の、米国によるエネルギー覇権状態への回帰となるだろう、とマリクは述べている。

 米国は再度奮起しようとしており、ユーラシアのパワーの重心は南下するであろう。経済及び人口統計学的に停滞した欧州連合と、エネルギーが豊富だが、ゆくゆくはそれほどでもなくなる独裁的なロシアとの間に現在生じている緊張は、実際のところ、大欧州の衰退を明らかにしているのかもしれない。同時に、少なくとも短期的には、発展しつつあるエネルギー関係に補強され、ロシアと中国、2つの巨大なユーラシア国家のある種同盟が、民主的な西側と対立し、競うようになるであろう。

 北米と大インド洋が中心的な位置を占める中、とうとう過去千年に亘って欧州中心だった世界が変わるのかもしれない、と論じています。

* * *

 カプランは、「地政学とは、地理的設定の中で繰り広げられる領土と国力の争いである」と定義しています。近世・近代の歴史において、国際秩序形成を強く規定してきた要因は、国力の一要素であるエネルギー資源をいかに獲得するかという点にありました。エネルギー問題は、地政学そのものと言うべきでしょう。

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