2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月28日

 さらに重要なことに、4月23日にオバマが安倍と寿司をともにした時、オバマは、安倍総理こそ、アジアへのリバランスあるいは回帰の存続への最大の希望であるかもしれない、と認識した。2011年にアジア・リバランスが打ち出されて以来、米内外の学者は、中身よりもレトリックばかりであると批判している。しかし、今や、ウクライナ問題、シリア内戦、イランとの交渉があり、アジア・リバランスは、より厳しい精査を受けている。端的に言って、米国は、アジアにおいて、助けを必要としている。

 リバランス政策が生き残る道は、アジアの安定を維持するための負担を喜んで共有する強力なパートナーと協力すること以外にない。そして、米国の全ての同盟国やパートナー国の中で、安倍だけがそうする気があるように見え、日本だけが真の力を発揮できる物質的豊かさを持っている。

 日本がより積極的になれば、海洋パトロール、情報の収集と共有、友軍の訓練などで助けとなろう。オバマは、安倍に、地域でもっと注目されるようになり、日米同盟が如何にアジアの安全保障環境を形成し得るかにについて考えるよう、促すべきである。安倍に寛容になることで、オバマ政権は、今後3年にわたりアジアに本質的に関与するという選択肢を手に入れることが出来る。

 日米首脳の和解は、韓国、中国との関係においても役立つかもしれない。オバマ政権が3月に朴槿恵を安倍の隣に無理やり座らせるまでは、両首脳は就任以来話をしたことが無かった。しかし、朴も、日本が韓国のアジアにおける最良のパートナーであることを認識しなければならない。両国は、自由主義の価値を共有し、ともに米国の同盟国であり、北朝鮮と中国を含む、共通の脅威に晒されている。

 北朝鮮をめぐる摩擦を別にすれば、東アジアで最も衝突が起こりそうな場所は尖閣である。習近平は、2012年11月に就任して以来、日本への圧力を高め続けている。昨年11月には尖閣上空を含む東シナ海の大部分に防空識別圏の設定を宣言した。中国の監視船は、尖閣周辺海域に侵入し、海保の艦艇と遭遇している。一つの偶発事態が、両国のナショナリズムを燃え上がらせる衝突に繋がり得る。習と安倍との間の信頼関係欠如を考えれば、衝突は、解決するのが困難であろう。


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